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内燃工学

ロータリーエンジンの燃焼サイクル
【問】ロータリーエンジンは単気筒が、出力軸1回転に付き一つの膨張行程(燃焼行程)を持つと聞きま した。
 ローターの形状からみて単気筒に3つの燃焼室を持つのですから、出力軸1回転に付き3回の膨張 行程(燃焼行程)があるのではないでしょうか?
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【答】 おやおや。 ロータリーエンジンにおけるエンジン回転数は、ローターの自転運動とイコールでは ありませんよ。
 とはいえ、そう考えてしまうのも仕方の無いことかも知れません。
 雑誌やムック本に於けるロータリーエンジンの図解は、作動ガスの交換(吸気→圧縮→火花点火→ 膨張→排気)だけで終わっていますからね。
 あの図だけを見れば、ローター自体の回転数が、ロータリーエンジンのエンジン回転数だと考えてし まうのも無理のないことでしょう。

 でも、御手元にあるムック本や雑誌の解説図をよく見てください。
 ロータリーエンジンのローターは、3枚のアペックスシールが常にハウジング内壁に触れながら回転 するという複雑な動きをしていることが御理解いただけると思います(このハウジング断面の瓢箪状の 曲線を「二葉エピコロイド曲線」と呼びます)。
 それ故に、ローターの中心と同軸上に軸受けを据えることができません。
 ロータリーエンジンは、ローター自体の自転運動をそのまま出力として利用することができないので す。

 では、ロータリーエンジンは、どうやってローターの動きを軸出力として得ているのでしょうか。

 ローター自体は、3枚のアペックスシールが常にハウジング内壁に触れながら回転するという複雑な 動きをしていますが、ローターの中心軸の軌跡は円になっています。
 ロータリーエンジンは、この「ローターの中心が描く円運動」を軸出力として利用しているのです。

 ローターの中心が描く円運動を軸出力として取り出すため、ハウジングの中心にはエキセントリックシ ャフトという出力軸が取り付けられています。
 このエキセントリックシャフトとは、レシプロエンジンでいうところのクランクシャフトに相当します。
 4ストローク・レシプロエンジンは、クランクシャフトが2回転する間に、一つの気筒が1回の燃焼行程 を持ちます。
 ロータリーエンジンの燃焼サイクルをレシプロエンジンと比較するのであれば、1回の燃焼行程が行 われる間に、エキセントリックシャフトが何回転するのかを考えなくてはなりません。
 1回の燃焼行程が行われる間に、エキセントリックシャフトが2回転するのであれば、それは出力軸 から見て4ストロークレシプロエンジンと同じ燃焼サイクルといえるでしょう。
 また、1回の燃焼行程が行われる間に、エキセントリックシャフトが1回転するのであれば、それは出 力軸から見て2ストロークレシプロエンジンと同じ燃焼サイクルといます。

 さて、まずは、ローターが1回転する間に、エキセントリックシャフトが何回転自転するのかを考えま す。

 左上部に吸気ポート、左下部に排気ポート、右側に点火プラグを置いた格好で断面図を描いてみま しょう。

 (スキャナの調子が悪くて、描いた絵を読み込めません。 仕方が無いので、デジカメで絵を撮 影しました。 いずれスキャナ読み込みの画像と差し替えますので、しばらく御辛抱下さい)

   

 ローターの中心が、ハウジング中心点の右に存在している状態をスタート位置と仮定します。
 このとき、ローターにある3つの側面の内、右にある側面に「A」という印を付けます。
 「A」から半時計回りに、それぞれの側面に「B」「C」という印を付けます。
 そして、3頂点のアペックスシールにも、それぞれ「a」「b」「c」という印を付けます。
 更に、エキセントリックシャフトの中心軸に右向きの矢印を付けます。
 
 ロータリーエンジンの行程サイクルでは、この状態で側面「A」とハウジングに囲まれた作動ガへ点火 プラグで着火され、膨張行程に入ります。




   

 エキセントリックシャフトに付けた矢印が下を向いた時、印「A」は右下にあります。




   

 エキセントリックシャフトに付けた矢印が左を向いた時、印「A」は右下にあります。




   

 エキセントリックシャフトに付けた矢印が上を向いた時、印「A」は下にあります。
 この時点で、アペックスシール「a」が排気ポートを通過していますので、側面「A」とハウジングに囲ま れた作動ガスは排出ポートから排出され、排気行程に入ります。




   

 エキセントリックシャフトに付けた矢印が右を向いた時、印「A」は左下にあります。
 ここまでで、既にエキセントリックシャフトは1周しています。

 さて、この状態は、一番最初の側面「A」が右を向いていた時と同じです。
 側面とアペックスシールに付けた記号が入れ替わっているに過ぎません。

 つまり、ここから先は、側面「B」とハウジングに囲まれた作動ガスへ点火プラグで着火され、膨張行 程に入るのです。

 後は、「A」が「B」に、「a」が「b」に置き換わって同じことが繰り返されます。

 つまり、側面「A」が左下へ120°自転する間に1回の膨張行程があり、その後、側面「B」が左下へ 120°自転する間に更に1回の膨張行程があります。 ローターが120°自転する間に1回の膨張行程 が発生し、エキセントリックシャフトは1回転するのです。

 ですから、ロータリーエンジンは、エキセントリックシャフト1回転に付き、1回の膨張行程を持つので す。

□□□2005.12.11追記■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□■■■■■□□□□□

 昨日、大阪梅田のキディランドにて面白い玩具を見つけました。
  
 指で出力軸(エキセントリックシャフト)を掴んで回すとローターが回るというロータリーエンジンのカット 模型です。
 では、この玩具を用いてロータリーエンジンの燃焼サイクルを見てみましょう。
 
 ↑まず、吸気行程の開始から。
 ローターに赤い線が入っていますが、この線とハウジングに囲まれた空間に注目してください。
 出力軸(真ん中の軸:エキセントリックシャフト)が何回転して、この空間が1回転するのでしょうか?

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が時計方向に1/4回転しても、赤い線とハウジングに囲まれた空 間は未だ吸気行程の途中です。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が1/2回転しても、赤い線とハウジングに囲まれた空間は吸気工 程中。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が3/4回転して、赤い線とハウジングに囲まれた空間が漸く圧縮 行程に入ります。
 
 ↑ここまでで、出力軸(エキセントリックシャフト)は1回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた 空間は圧縮行程中です。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が1と1/4回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は レシプロエンジンで言うところの上圧死点に来ており、圧搾された混合気へプラグによって着火され、 膨張行程に入ります。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が1と/2回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は 膨張行程中です。
 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が1と3/4回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は 未だ膨張行程中です。

 
 ↑ここまでで、出力軸(エキセントリックシャフト)が2回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた 空間は排気行程に入っています。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が2と1/4回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は 排気行程中です。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が2と1/2回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は 尚も排気行程中です。

 
 ↑出力軸(エキセントリックシャフト)が2と3/4回転しました。 赤い線とハウジングに囲まれた空間は 丁度排気行程を終えています。

 
 ↑このように出力軸(エキセントリックシャフト)が3回転する間に、赤い線とハウジングに囲まれた空 間が吸気行程〜圧縮行程〜着火〜膨張行程〜排気行程を済ますのです。

 今回、一つの空間(赤い線とハウジングに囲まれた空間)だけに注目しましたが、残りの2つの空間 においても同じように行程が進みます。
 つまり、出力軸(エキセントリックシャフト)が3×n回転する間に3つの空間において順次、吸気行程 〜圧縮行程〜着火〜膨張行程〜排気行程がn回ずつ済まされます。

 というわけで、ロータリーエンジンは、出力軸(エキセントリックシャフト)が1回転する間に、1回の燃 焼が行われる勘定になるワケです。

◆後日2008.08.24記◆参考URL◆
http://gewhe.ho-zuki.com/gia.htm


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