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アトピービジネスの間違いを暴け!
【肌砂糖 / 肌潤糖】 砂糖を使ったスキンケアでアトピーが治る?
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【問】オイルコーティングされた特殊な砂糖をスキンケアに使うと、
@砂糖の粒が体温と水分で優しく溶けて肌に馴染み
A高圧浸透力に因って溶けた砂糖が角質層へ浸透
B角質層に浸透した水分の吸水・保湿力で水分を引き寄せます
C潤った角質層はバリア機能が向上し、刺激や異物を侵入させなくなる
こんな素晴らしい作用で重度の皮膚トラブルが改善されます。
この新製品の開発には5年の歳月と2億円の費用が掛かりました。
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【答】顔がリアルに ( ゚д゚) ← こうなりましたw
おそらく褥瘡の治療にイソジンシュガーという、消毒薬のイソジンと砂糖を混ぜた物を使う事にヒント
を得たんだと思う。
しかし、砂糖は水に溶けるのだから、何も個体のまま肌に擦り込む必
要はなく、水性の担体(軟膏やクリーム)に混ぜれば(=溶かせば)
良いだけの話だ。
→ 美肌になりたいなら、砂糖をもってお風呂に入ろう
http://matome.naver.jp/odai/2135277501276968501
まぁ、この辺はさすがに想定の範囲内らしく、このように制止を掛けてある。
これだけを見れば誰もが
「奇跡の肌潤糖は、肌に擦り付けても安全なんだ」
と捉えることだろう。
しかし、その直後に続くのは、
( ^∀^) クソワロタw
『奇跡の肌砂糖』も普通に水に溶いてるじゃねーかw
少量の水で溶くなら、結晶粒の形状は関係がない。
というか、結晶粒に因る肌への攻撃を憂慮するなら、コンフェクショナリーシュガー(粉糖)またはアイ
シングシュガーを使えば良いだけの事。 普通のグラニュー糖の粒が0.5mm程度なのに比べてコンフ
ェクショナリーシュガー(粉糖)の粒は0.06mm程度,アイシングシュガーなら0.024mm程度である。
言うまでも無い事だが粒が小さくなれば早く溶ける。
一辺が0.5mmの立方体なら体積は0.125立方mm。
一辺が0.06mmの立方体なら同0.000216立方mm。
一辺が0.024mmの立方体なら同0.000013824立方mm
その差、実に579倍と9,042倍である。 グラニュー糖ひと粒の重さがコンフェクショナリーシュガー(粉
糖)なら579粒で、アイシングシュガーなら9,042粒になるのだ。
グラニュー糖に比べてコンフェクショナリーシュガー(粉糖)やアイシングシュガーが如何に溶け易い
かは容易にご想像頂けると思う。
高い金を掛けてグラニュー糖を球状に加工する位ならコンフェクショナリーシュガー(粉糖)またはアイ
シングシュガーを使って少量の水に瞬時に溶かす方が遥かに合理的である。
コンフェクショナリーシュガー(粉糖)なら100gあたり数十円,アイシングシュガーでも同数百円だ(※)。
アトピービジネスに金を払う事のバカバカしさが実に良く分かる話である。
※:ただし、コンフェクショナリーシュガー(粉糖)が純然たるグラニュー糖の粉砕粒であるのに対して
アイシングシュガーは水で練ってケーキの飾り付けに使われることが多いため、
予め微量のコーンスターチを含んでいる物があるので要注意。
そして、そもそもイソジンシュガーが潰瘍を治癒するというのは、科学的根拠がない。
はい、ソース。
→ イソジンシュガーは有効なのか?
http://www.wound-treatment.jp/wound079.htm
> 浸出液の少ない黄色期褥瘡にイソジンシュガーを使うと,
> ただでさえ少ない浸出液(もちろん,創傷治癒物質「細胞成長因子 Growth Factor」が豊富に含まれています)
が
> イソジンシュガーの砂糖に吸収され,急速に黒色期褥瘡に逆戻りしてしまうのだ。
> いわば,「浸出液の少ない褥瘡」にイソジンシュガーは禁忌といってもいいくらいだ。
脱ステロイドで浸出液まみれでもない限り、砂糖を塗っても効果はないようだ。
さらに、web記事は続く。
> 赤色期褥瘡にイソジンシュガーを漫然と使っていると,せっかく上がってきた肉芽が
> 白っぽい病的肉芽に変化し,上皮化も停止してしまう。
> これは恐らく,砂糖が浸出液を吸い取ってしまうためと,
> イソジンの組織障害性によるものだろう。
なんと! 患部表面で浸出液を吸い取ってしまうとある。
つまり、褥瘡に砂糖を使っても内部に浸透なんかしないのだ。
そりゃま当然。 アタリマエの話だ。
アトピービジネスのサイトでは
> A高圧浸透力に因って溶けた砂糖が角質層へ浸透
とあるが、砂糖の浸透力なんか微々たるもの。
砂糖の浸透力が大きいなら砂糖漬けにこんな手間は要らない。
砂糖漬けの手間 → 柑橘類の皮の砂糖漬けの作り方
http://www.lcv.ne.jp/~apple610/satouduke.htm
かりん(マルメロ)の砂糖漬けの作り方
http://simplenikuraso.tea-nifty.com/recipe/2004/11/post_3.html
「青梅の砂糖漬け」の作り方
http://minabe.net/umelife/satou/recipe.html
つまり、砂糖樽に患部を突っ込んで、何日も放置しない限り皮下に砂糖が浸透するなんてことは
起こり得ないのである。
さて。
肌に砂糖を塗っても皮下に浸透しないのは分かったが、それでも
「褥瘡の治療に使われる位だから、傷の治癒に砂糖は効くのではないか」
「傷の治療に砂糖が効くなら、重度の皮膚トラブルにも効くハズ」
という希望的疑問が残りるだろう。
ところが、この点も先に紹介したwebサイトは論破してくれています。
→ イソジンシュガーは有効なのか?
http://www.wound-treatment.jp/wound079.htm
> イソジンシュガーが褥瘡治療に有効だと行われた時期に,「感染している褥瘡には
> デブリードマンと生理食塩水による洗浄を行う」という知識が普及し始めた時期が重なった
> だけのことではないだろうか。
> つまり,「イソジンシュガーを使わないのと,使うのを比較すると,
> イソジンシュガーの治療効果は明らかだ」という報告があったとしても,
> それはイソジンシュガー単独の効果でなく洗浄による効果もあったはずなのに,
> なぜかイソジンシュガー単独の治療効果とされてしまったのではないだろうか
> (このような論理のトリックは現在でも,強酸性水の治療効果についての論文に
> 形を変えて,しばしば観察される)。
要するに「砂糖に傷を治す働きはない」と。
ま、それも当たり前の事。 もし砂糖に傷を治癒する効果があるのなら、イソジンシュガーパスタ軟膏
だけではなく、市販の傷薬の殆どに砂糖が添加されるだろう。
何処の製薬会社も(イソジンシュガーパスタ軟膏を除いて)、傷の治療薬に砂糖を混ぜはしないのだ
から、イソジンシュガーなんて物は「過去に効果があると信じられていた」だけで何の根拠もない都市伝
説の様なモノだと捉えるべきである。
砂糖を使った保湿剤「肌砂糖」(※)に関しても同様。
塗った砂糖がビタ1nmも浸透していないのに洗顔で洗い落としているだけだ。
もちろん、ストレスが発症要因の一つであるアトピー性皮膚炎に於いて、
「良く効くという薬(実際は保湿剤=化粧品)を使用しているのだから良くなるに違いない」
という思い込みが症状を緩和させる可能性は決して低くない。
だがしかし、それは薬効とは別の話だ。
※:性別が男である私には肌砂糖の「顔への使い方」「全身への使い方」を見ただけではピン!と来なかったんだけれども、
コレって保湿剤じゃなくてスクラブなんだよね。
要するに「研磨剤を含んだ洗顔料」で“砂糖”は保湿成分じゃなくて研磨剤。
ただでさえ薬事法 - 第8章 医薬品等の広告にバリバリ抵触しているんだから、これぐらい誤差の範囲なのかも知れない
が、
スクラブを保湿剤として売るのはちょっと悪質なんじゃないかな。
・・・てな感じで。
またもや怪しげなアトピービジネスを論破させて頂いたのだけれど。
考証しながら書き綴ったので、読み直してみたらイマイチ芯の通っていないボヤけた文章になってる
わね。
というわけで、FAQ調のまとめを追加しておきましょう♪
[ Q ] 肌砂糖の正体は何ですか?
[ A ] スクラブです。
化粧をする習慣のない男性には馴染みのない言葉ですが、
スクラブとは研磨剤を含んだ洗顔料です。
→ http://d.hatena.ne.jp/keyword/スクラブ
[ Q ] 他製品を凌ぐ優れた保湿性能が肌砂糖にありますか?
[ A ] 砂糖に保湿効果があるならスクラブではなく、塗って使う保湿剤や入浴剤に砂糖が添加されて
販売されているハズです。 つまり、少なくとも砂糖の添加は保湿性能に寄与しません。
[ Q ] 何の目的で肌砂糖に砂糖が含まれているのですか?
[ A ] 研磨剤として含まれています。
実は、砂糖を研磨剤に使っているスクラブは、この肌砂糖だけではありません。
たとえば、『ドルチェローズスクラブ』なんてのもその一つ。
こちらのwebサイトは、ちゃんと
「塩スクラブと違ってピリピリザラザラしない。顔に使っても大丈夫」というだけの話だと
明記されている。
しかも、洗い上がりのしっとり感を出しているのは、
『3つの赤い果実』と『3つの植物』,『3つの美の素』だ、とも明記されている。
添加された砂糖で他製品を凌ぐ優れた保湿性能が得られるなら、これらの成分は必要が
ありません。
砂糖はあくまで研磨剤です。
塩よりも肌への攻撃性が低いだけであって、スクラブに砂糖を混ぜて使えば
肌の状態が改善されるワケではありません。
それから追加ついでに。
2ちゃんねる等の掲示板で脱ステロイド系のスレッドが立つと、ステロイドの代替治療法として
奇妙奇天烈な塗り薬が「これで治った(良くなった)よ」という報告と共に薦められていますが、
一度↓こちらにお目通し頂きたい。
痛いニュース(ノ∀`) 「茶のしずく石鹸」で小麦アレルギーに…
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1678010.html
メトセラATP ES-27 クリームは普通の保湿クリームが高額で売られているだけですし、肌砂糖にした
って砂糖自体はアレルゲンに成らないと思われますが、動物実験や治験を繰り返して製品化される大
手製薬の商品でさえ、後に健康被害を発生させて訴訟騒ぎになるのですから(最近はさすがに聞かなくなり
ましたが)、安易に『画期的な新製品』に手を出すのは非常に危険です。
「辛いアトピー性皮膚炎から逃れたい」&「さりとてステロイド外用剤は怖い」という想いは理解できま
すが、ただでさえアトピー性皮膚炎を発症している肌はバリア層が破壊されていて異物の進入が容易
になっています。 健常な肌であれば問題の起こらない添加物であっても、アトピー性皮膚炎であれば
重篤な疾患になることも十分にありえます。
第二第三の茶のしずく石鹸被害者になりたくないのであれば、安全性の確立していない代替治療法
へ安易に飛び付くのは止めましょう。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
◆ 当記事に関連する法律 ◆
薬事法 第8章 医薬品等の広告
http://www.houko.com/00/01/S35/145.HTM#s8
(誇大広告等)
第66条
何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の名称、製造方法、効能、
効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、
虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、
医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、
又は流布することは、前項に該当するものとする。
(承認前の医薬品等の広告の禁止)
第68条
何人も、第14条第1項又は第23条の2第1項に規定する医薬品又は医療機器であって、
まだ第14条第1項若しくは第19条の2第1項の規定による承認又は
第23条の2第1項の規定による認証を受けていないものについて、
その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
(罰則)
第85条
次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、
又はこれを併科する。
1から3まで(省略)
4 第66条第1項又は第3項の規定に違反した者
5 第68条の規定に違反した者
6 (省略)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/sonota/koukoku/siryou/files/6.pdf
◆ 当記事に関連する他サイト情報 ◆
ネットショップ CS情報局「薬事法NG広告クイズ「治療的スキンケアを追求した薬用ローション」
http://blog.fides-cd.co.jp/article/234647509.html
石鹸百科「医薬部外品とは?」
http://www.live-science.com/honkan/basic/miwake04.html
あとぴナビブログ「医薬部外品の落とし穴(1)」
http://blog.atopinavi.com/2010/11/28/%E5%8C%BB%E8%96%AC%E9%83%A8%E5%A4%96%E5%93%81%
E3%81%AE%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%97%E7%A9%B4%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%89/
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