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正しいステロイド治療法
ステロイド外用剤は、どんどん強い薬に切り替えて行かなくてはならないのか?
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【問】 ステロイド外用剤を使い続けると、どんどん強い薬に切り替えて行かなくてはならないので、最後
には廃人化するって本当ですか。
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【答】 これが全くの出鱈目でも無い所が、ステロイド外用剤の痛い所です。
たしかにステロイド外用剤を長期間連用すると「慣れ」が生じて効きが落ちてきます。
ミディアムクラスのステロイド外用剤を連用し続けると、ストロングクラスでなければ症状が抑えられな
くなります。
続いてストロングクラスのステロイド外用剤を連用し続けると、ベリーストロングクラスでなければ症状
が抑えられなくなり・・・更に続けてベリーストロングクラスのステロイド外用剤を連用し続けると・・・
最終的にはストロンゲストのステロイド外用剤でも症状を抑えきれなくなり、内服剤が投与されます。
こうなると副腎は萎縮し機能を停止してしまいますので副腎が分泌していた各種ホルモンが分泌され
なくなります。 当然、体はアトピー性皮膚炎以外の病症に見舞われ重病人化します。
麻薬の純度・使用量のインフレーションに似た地獄の1丁目行き連鎖です。
しかし、麻薬もそうなのですが、ステロイド外用剤は使用を中止すると早々にリセットが掛かって「慣
れ」が消えます。
生まれて初めてステロイド外用剤を使用した瞬間の様な、一番弱いノーマルクラスのステロイド外用
剤でみるみる内に発疹が消えてしまう「切れ味」を期待するのは無理ですが、上のクラスのステロイド
外用剤に切替えなくても十分な効きを発揮します。
ステロイド外用剤は対症療法ですが、「慣れ」の生じていない患部には驚く程の消炎効果を発揮しま
す。
ステロイド外用剤を感冒薬に喩えて、「高熱を対症療法薬の解熱剤で下げると、ウィルスを殺せなくな
るので症状が長引く。 ステロイド外用剤も対症療法なので、同様にアトピー性皮膚炎を悪化させてし
まう。」と論じる人が居ますが、それはちょっと違います。
●●理論などではアトピーの炎症を「体が化学物質を排出する力」と解釈していたりもしますが、出鱈
目も甚だしいです。
脱ステロイドで重症化しない限り、大抵の人は炎症が特定の部位に限られるハズです。
毛細血管で体中に運ばれた化学物質が、何故特定の部位からのみ排出されるのでしょう?
おかしいですよね。
高熱は体がウィルスを熱殺菌しようとする力ですが、アトピーの発疹はただ単に炎症を起こしている
だけに過ぎません。 発熱の様に、何か体の中の重篤な状態を治すために機能しているのではありま
せん。 正真正銘、益にならない症状なのです。
ですからアトピー性皮膚炎の炎症をステロイド外用剤で沈静化する事は、「対症療法だから無駄」な
のではなく、「対症療法だから有効」と考えるべきなのです。
ステロイド外用剤の使用は「慣れ」の問題を除けば、糖尿病のインスリン注射に似ています。
糖尿病のインスリン注射も根治療法ではありません。
インスリンを打たなければ死ぬからインスリンを打つのです。
ステロイド外用剤も、使わなければ重症化するから使うのです。
ステロイド外用剤で炎症を最低限度まで抑えこんでいれば、3〜4日間はステロイド無しでも症状の悪
化は僅かです。 3〜4日間ステロイドが使用されなければ、「慣れ」はかなりリセットされます。 再び3
〜4日間ステロイドを連用して悪化した分を抑え込めば、再び3〜4日間ステロイド無しで済ませる事が
出来ます。
これを繰り返していれば、少なくとも「慣れ」でより強いステロイド外用剤へ切替えていく必要はなくなり
ます。
このサイクルを維持した上で、食生活や生活習慣を見直したり、ストレスの元を遠避けたり出来れば
症状は改善されます。 症状が改善されれば、より弱いステロイド外用剤へ切替える事が出来ます。
上手く行けばステロイド離脱もあり得るそうです。
そこまで行かなくても、「ステロイド外用剤は効きの強い薬だから乱用すべきではな
い。 適度に管理して使用する限り、ステロイド外用剤は恐ろしい
薬ではない」と断言できます。
また、余談ですが、3〜4日間のステロイド抜き生活の間に速やかな悪化が生じた場合、プロトピック
軟膏で凌ぐ事も選択肢のひとつです。
プロトピック軟膏が認可されたおかげでステロイド治療がし易くなったと言えるでしょう。
(プロトピック軟膏は効きに個人差が大きく、また人に拠って強い「ほれリ」感がみられる事があります)
ただし、稀だそうですが、ステロイドの効き難い患者も居ます。
そのような人達に対しては抗ヒスタミン・抗アレルギー剤を服用しつつ、スキンケアで回復を図って行く
ことになります。
間違っても漢方薬や温泉、妖しげな化粧水だけで治す物ではありません。
ステロイド外用剤が効き難いと感じられる人は、ちゃんとした皮膚科医に相談しましょう。
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