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オイル及びオイル添加剤

 油温とオイル劣化の関係                              2007.03.29 整理しま した
【問】とある掲示板に「オイルの性能は粘度に関係なく、オイルの劣化は単純に油温に依存する」ってケ ミカル業界関係者らしき人の書き込みがあったのですが、本当ですか?
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【答】とある掲示板って(笑)。 本家Q&Aですね。
 ようするに前者は、コレですよね。
 「・・・《前略》・・・40、50番はは100℃の動粘度が12.5〜16.3、16.3〜21.9cSt(センチストークス)です。   5W-50の方が高温では硬いことになりますが、100℃近辺ではオイルの粘度は10℃上昇すると約0.8 倍程度になります。  ということは150℃では40、50番とも、3.7 cP以下で粘度の差はほとんどありませ ん。  それでもレースではそのほとんど見えない差を意識をして硬いオイルを入れます。

 見えない差を意識する程、速度競技の勝利方程式は宗教的ではありませんよ。

 この人は、単純にSAEの粘度分類番号が同じオイルは、稼働中も同じ粘度だと考えているみたいで すね。
 しかし、缶を開けたばかりの新品オイルの粘度が同じであっても、何時間か、いえ、何十分か稼動し た後のオイル粘度は、銘柄によって大きくことなります。

 高価なオイルは、ポリマーに頼って増粘しなくて済むベースオイルを使用しています。  
 そして、安価なオイルは、増粘剤としてポリマーを添加することによって(少なくとも開缶直後の真新し い時期の)オイル粘度を作り出しています。  しかし、ポリマーは剪断抵抗に因る破壊に弱く、高温・ 高負荷下に於ける長時間の稼動で呆気なく変質してしまいます。

 つまり、縦軸に粘度(センチポワズ:cP)、横軸に温度をとって長時間の稼動を図表化した場合、たと えSAEの粘度分類番号が同じであっても、ポリマーで増粘した安価なオイルと熱に強いベースオイル を使用したオイルは、大きく異なる曲線を描くことになるのです。


 レースでオイルをチョイスする場合には、その前提として
(1)ポリマーなどのように過酷な条件化で急速に機能を失ってしまう添加剤に頼ることなく性能を発揮 するオイルであること。
(2)スパークノックを回避する一手段として、過濃混合気に因る燃料冷却を行っている場合、および大 容量インジェクターのために小〜中量吐出時の霧化率が悪い場合に、境界層の濃いHCがピストンリ ング付近のエンジンオイルを著しく希釈してしまう(もちろん、オイルパン内も希釈されます)。  この希 釈によっても尚、十分な“くさび形油膜”を形成し得る粘度を有していること。
 ・・・などが必須となります。
 逆に言えば、これらの条件を満たしていれば、オイルの粘度は低くても問題ありません。  とくに速 度競技車両のエンジンは短いサイクルでオーバーホールされますので、「焼き付かない程度の個体潤 滑疵」と「剪断抵抗による出力の損失」を天秤に掛ければ、後者の方が問題視されることになります。   ですから、何十年も昔の話ならいざ知らず、こんにちの速度競技に於いて保険的に固いオイルをチョ イスするということはありません(そーゆーことしてたら勝てません)。





 そして、後者はコレですね。
 「劣化は高温時の酸化によるベースオイルや添加剤の劣化、軸受等での剪断劣化、ブローバイやさ まざまな物質による変質などが挙げられます。  が主体は酸化と剪断によるものですが、オイルの酸 化劣化による寿命は、一般に10℃上昇する毎に1/2となります。  100℃で600時間の寿命とすると、 100℃で1時間走行したらオイルは1/600だけ寿命が縮まります(通常のオイルのレベル)。  90℃であ れば、1,200時間となるので、90℃で1時間走行すれば、1/1,200だけ寿命が縮まるわけです。
 そのような考え方を是非して下さい。  軸受け部等の極端に温度が高い部分はオイルの全体量の ごく一部ですのでそこは考慮しなくてもいいです。
 ですので油温管理をしっかりしていれば(油温が120℃を超えない走行)、よほどのことがない限り大丈 夫です。

 いやぁ、懐かしいですねー。
 知らない人も多いと思いますが、これは2年位前にネット上でまことしやかに囁かれた都市伝説で す。  最近全く見かけなくなった(検索エンジンでも殆どヒットしない)ので、廃れたモンだと思っていた のですが未だ信じてる人が居たんですね。

 ツッコむ方向は色々あるのですが、やはりギアオイルとの比較が一番解り易いでしょう。
 渋滞が殆どを占める町乗りはともかく、制限速度+αで加減速を繰り返しているクルマのデフオイル の温度は、燃焼熱を帯びないにもかかわらず、結構な高温になります。  これは、エンジンオイルと違 って冷却水やオイルクーラーによって冷まされないからです。  そして、その温度は低くてもエンジン オイルと同程度 〜 高ければエンジンオイルよりも数十度も熱くなります。  にもかかわらず、デフオイ ルはエンジンオイル程頻繁に交換されません。  機械式差動制限装置(リミテッド・スリップ・デファレ ンシャル:L・S・D)装着車においては、スポーツ走行時の発熱量が只事ではなく(180℃軽くオーバ ー)、また、湿式多板クラッチの磨耗粉塵がオイルに混入するため頻繁な交換が必須となりますが、そ こそこ飛ばすオヤジセダンなどは、メーカー推奨交換サイクルである8万キロ毎まで放ったらかしです。
 それでも、滅多なことで焼き付いたりしません。
 何故でしょう?
 答えは簡単。
 エンジンオイルの酸化は、オイルパンの温度に依存していないからです。

 エンジンオイルを酸化させる主な要因はふたつ。

 局所的な高温と酸化物の混入です。

 前者は、上のレスを書き込んだ方も「走行中のエンジン内の軸受け部は160度近く」にもなってとして 例に挙げておられますが、なんのなんの。  エンジン内部で160℃如きは、極端に温度が高い部分 称す程ではありません。  なんたってオイルパンの直上ではピストンが上下運動を繰り返し、そのピス トンは(境界層に護られているとはいえ)火炎に晒されているのです。  その温度は、ピストンクラウン 部で約260℃、トップランド部で約230℃、セカンドランド部で約190℃にも達します。  ここに供給され たエンジンオイルは高熱に被爆して高温酸化を起こすのです。

 また、レシプロエンジンはその構造上、オイルパンへブローバイガスが吹き抜けます。
 これには、燃焼に伴って生成されたNOxや非塩基性窒素化合物が含まれるため、オイルが酸化させ られてしまうのです。
 こうして出来たオイル酸化物が煤や固体炭化物などの燃料酸化物と更に酸化縮合すると、スラッジ が生成します。  スラッジは燃焼室やピストントップに堆積して断熱し要求オクタン価を上げてしまった り、過早着火の火種になったり、ピストンリングの動きを阻害したり、バルブやカムの潤滑摺動を妨げ たりするため、エンジンン損傷の原因となります。
 だからエンジンオイルは早い交換が望まれるのであって、「オイルパンの温度が何度下がったから何 十パーセント長持ちする」という単純な式は成立しません。

 ついでに記しておきますが、エンジンオイルの温度が120℃を超えたら要注意といわれるのは、油温 が120℃を超えるような高回転・高負荷な稼動状態が続くことに問題があるのであって、エンジンオイル が120℃で変質してしまうワケではありません。 










 さて、ついでのついでに、この人の間違いをもうひとつ指摘しておきましょう。
 上にコピペしたレスよりも前のスレッドに対するレスですが。
 「オイル粘度が増大すれば、滑り軸受け部の損失が増大すると思っておられる方は多いと思います。  
 オイルが受ける剪断応力は「オイル粘度×軸の回転速度/油膜厚さ」に比例しますので、軸受け損失 もこの値に比例します。
 ですので50番のオイルはオイル粘度が大きい分、比例して油膜厚さが大きくなりますが、上記の関係 から軸受け損失は同じ(変わらない)ということになります。
 油膜厚さが確保できる限り、基本的には粘度がかわっても軸受け損失は同等です。
 しかし滑り軸受け以外の部分でオイルをかき回すための損失は当然粘度が大きいほど大となるの で、エンジン全体の損失は大きくなりますが。
 また、油膜は1,500rpm以上にならないと、完全には形成されませんので、クランク軸を手で回転させ て、オイル粘度が大きい場合には抵抗が大というのは当たり前ですので、これと混同されないようにお 願いします。 」

 どこからツッコんでイイのか戸惑いますが。
 とりあえず文章中の順番に沿うとすると、まず、オイルが受ける剪断応力は「オイル粘度×軸の回転 速度/油膜厚さ」に比例しますっていうのは違う。 ニュートンの粘性則は、[ 剪断応力 ] = [ 流体の粘 性 ] × [ 流体の速度勾配 ] です。
 てゆーか、軸受けなんだから負荷部の油膜が薄くなれば、その反対側の油膜は厚くなるワケで、軸 受け全体の平均油膜厚さは常に同じですヨ。
 したがって、エンジンオイルの粘度が上がれば単純に軸受け損失は増すと考えるのが道理で、どこ をどう捻ればこういう無茶な結論に至るのか至極不可解です。

 また、軸受けにおいて油膜が形成される回転数はオイルの粘度に依存しています。  つまり、オイ ルが固ければ比較的低い回転から油膜は形成されるのです。  したがって、異なる固さのオイルによ る違いを論じる際に、油膜は1,500rpm以上にならないと、完全には形成されないと断ずるのは間違っ ています。
 てゆーか、ノーマルエンジンのアイドリングは冷間時でも1000rpm以下です。  暖気が終われば7〜 800rpm(エアコンOFF時)でしかありません。  もし本当に1500rpm未満でくさび形油膜の維持が困難 になってしまうのであれば、暖機運転や信号待ち、渋滞などで容易にエンジンは焼き付いてしまいます ヨ。  何処からデータを拾ったのか知りませんが、クルマの免許持っていて気付かないのかな?こん な簡単な矛盾点に。





 言葉遣いが丁寧なのは好感が持てますが、間違いだらけの薀蓄をこうも堂々と語られるのは如何な ものかと。  権威的口調だけで信じちゃうオコチャマも居るみたいですから、ちょっち勘弁して欲しいと 思いますね。





 ■□補足□■ 

 ネットサーフしていたら、偶然に「長期間エンジンオイルを無交換で稼動したエン ジンの写真」を載せ たサイトに遭遇しました♪ 
 是非御覧下さい。

 2003.04.09 テクニカルアドバイス For Roadster
 テクアド 中古車購入
 http://www.maruhamotors.co.jp/advice/technical92.htm

 2009.01.31 岡谷 スズキ こだわりの車屋ブログ
 驚異のエンジンオイル55000キロ無交換!
 http://arena-okaya.jugem.jp/?eid=449

 2011.07.20 ぱるぷんてにゅーす
 【グロ注意】3万kmオイル交換してないBMW、エンジンを開けてみるとえらいことになってた
 http://www.paropunte.net/archives/1618570.html

 2011.12.02 知って得する自動車整備情報
 新車でもオイル交換しないと・・ ダイハツムーブ 整備情報184
 http://kakousagi73.ti-da.net/e3630026.html

 小沢コージの勢いまかせ!
 第435回:タダより高いモノはない!? 迫り来る“フリーウェイ系”中古車の恐怖
 http://www.webcg.net/articles/-/3652?pg=2
 http://www.webcg.net/articles/-/3652?page=2
 http://www.webcg.net/articles/-/3652?page=3

 町の自動車屋さん ヤマダオートサービス
 定期的なオイル交換の大切さ
 http://www.yamadaauto.com/syuuri.html


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