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脱ステロイド教という名のカルトについて

「放射能怖い」と同じ構造・・・門外漢が似非科学で不安を煽る

 私がこのwebサイトに脱ステロイドに関する啓蒙を綴らせて頂いてから早10年以上が経ちました。

 その間に私のアトピー性皮膚炎は再び悪化をし、「所詮、アトピー性皮膚炎の治療にはステロイドの 処方しかなく、超悪化なら慎重にステロイドの内服薬を使うしかないか」と思いながら大病院の門戸を 叩けば、私の知らぬ間にアトピー性皮膚炎の治療法は大きな進化を遂げていて、重篤化した皮膚はあ っと言う間に快方へ向かいました。

 この辺の経緯は、既に他のページに書かせて頂いた通りです。

 さて、普通の皮膚科医の治療法が進化している一方で、実は脱ステロイドビジネスもまた進化してい ました。

 いえ、脱ステロイドというシステムが不安商法であることは相変わらず変わっていませんし、脱ステロ イドという似非治療法が「痒み止めや保湿剤を容認派」と「痒み止めや保湿剤まで否定派(松●医院はコ チラ)」に分かれるだけで10数年前と治療法(?)そのものは何も変わりません。

 ただ、「何故ステロイド依存症(ステロイド依存性皮膚炎)になるのか?」という学説にニューバージョ ンが発生していました。

 これは私のサイトをご覧になって脱ステロイドへの挑戦を回避された賢い読者様から頂いたお便りで 判明したものです。

 ASIC論文コーナー「アトピー性皮膚炎患者のためのステロイド離脱」
 (1) http://atopy.info/essay/4.html
 (2) http://atopy.info/essay/5.html
 (3) http://atopy.info/essay/6.html

 非常に分かり易い。 国語的に素晴らしい文章だと思います。

 脱ステロイドという悪魔的行為によって、文字通り悪魔と悪夢の抱擁を交わした経験が私になけれ ば、私もこの文章を盲目的に信じていただろうと思います。

 しかし、この論を支持するのは無理です。

 このくだりを読んでください。

 > ステロイドホルモンは他の性ホルモンやビタミンDなどと同様にコレステロールから合成される。
 > つまりコレステロール骨格をもつグループである。
 > 新鮮なステロイドホルモンは側鎖のほとんどが酸素フリー(oxygen-free)で
 > 極限ともいってよい抗炎症作用を示す。 そして生体内で次第に酸化を受けていく。
 > 酸化レベルのまだ低いステロイドホルモンは17-OHCSなどとして尿から排出される。
 > しかし、酸化レベルが高くなると通常のコレステロールと同様、胆汁酸として
 > 肝から腸へ排泄される。
 > コレステロールが生体内に停滞し、加齢とともに動脈硬化を引き起こすことでもわかるように、
 > 過剰に生じた酸化コレステロールの排泄はいつでも困難さを伴う。
 > 特に、外用薬として生理的濃度を超えて体内に入ったステロイドホルモンは、
 > 組織に停滞し酸化コレステロールに変成していく。

 つまり、ステロイド外用剤を使用すると皮下で酸化コレステロールに変化するという。

 その後にこう続きます

 > 酸化物質は組織を交感神経緊張状態にし、血流のうっ滞(peripheral circulation failure)と
 > 顆粒球増多をまねく。 
 > 顆粒球は組織に浸潤しすき間のない炎症を引き起こすに至る。
 > これがアトピー性皮膚炎から酸化コレステロール皮膚炎への移行である。
 >
 > この移行はステの移行はステロイド外用剤を使用し始めてから数ヶ月から数年で引き起こされる。
 > このような酸化コレステロール皮膚炎を静めるために、もしステロイド外用剤を使用するとすれば、
 > 前よりも多量の外用薬を使用しなければならなくなる。
 > これが患者や医者がいつも経験しているステロイド使用時のステロイド剤増量のメカニズムであ る。
 >
 > 『ステロイド依存症』 のメカニズムである。
 >
 > 減量どころか、増量せずには変成した酸化コレステロールを中和できないのである。
 > そして、それも一時的なことである。
 > 全身投与よりも局所投与の方が副腎機能低下を招きにくいが、
 > 局所投与には組織沈着による酸化コレステロールへの変成という別の困難さがある。
 > このようなステロイド依存がくると、酸化コレステロールの反応により
 > 炎症性サイトカインがストレスによって多量に放出されるようになり、
 > 独特の炎症像がつくられていく。
 > 元のアトピー性皮膚炎とは異なり、ステロイドを塗った場所に
 > 特異的にすき間のない炎症が出現してくる。
 > 全身反応なので、ステロイドを塗らない場所にさえ広がる。 ステロイドが切れた時にである。
 >
 > 誤解のないために言うが、痒くて掻いたから炎症が出たのではなく、
 > ステロイドが切れたために一瞬にして炎症が引き起こされ痒くなるのである。

 これは実に説得力がある。

 しかし、仮説でしかない。

 この仮説を実証するためには、最低でも、アトピー性皮膚炎をステロイド外用剤で抑えている患者に 承諾を得て、[ ステロイドを使用している部位 ] と [ 使用していない部位 ] の皮膚を採取して、そこに含 まれる酸化コレステロールの量を比較してデーターを示さねばならない。

 しかし、論文(1)〜(3)の何処にもそんな数値は示されない。
 いや、何も「アトピー性皮膚炎をステロイド外用剤で抑えている患者」に頼まなくてもよい。
 この論者自身が自らの体で、特定の部位に一定期間、ステロイド外用剤を塗布し続け、[ ステロイド を塗布していた部位 ] と [ 塗布しなかった部位 ] の皮膚に含まれる酸化コレステロールの量を調べる だけで良い。
 しかし、こんな簡単に取れるデーターさえ取ってはいないのだ。

 これを妄想と言わずして何を妄想と言うのだろうか。

 大学生が根拠もなしに論文を書いたら突っ返される。
 レポートでも許されないだろう。

 これは、それがまかりとおっている論文なのだ。

 正直な話、この時点で読むに値しないと断言できる。



 しかし、ここで終わらせるのもアレなので、もう少し続けよう。

 そもそも、仮にステロイド外用剤を使用すると皮下で酸化コレステロールに変化すると仮定しても、そ の量は極めて僅かである。

 私はアトピー性皮膚炎以外に糖尿病も患っているため、内科医へ通院する度に採血され、血を調べ る。
 調べるのは基本的に血糖値とグリコヘモグロビン検査(ヘモグロビンA1c)だが、検査項目を増やすと 医師の儲けが増えるのと、私自身がそういう調べ物が好きなので血液検査で分かる診断を結構増や す。
 T−Cho(総コレステロール)やTG(中性脂肪),HDL−C(善玉コレステロール),LDL−C(悪玉コレ ステロール)なんかは定番中の定番だ。

 結論から言わせて貰えば、年末の宴会シーズン明け/正月明けなどの後に測ればコレステロール値 が上昇しますが、悪化したアトピー性皮膚炎に対して経口治療薬『ネオーラル』とワセリンで希釈した大 量のステロイド外用剤を併用していた時期でもコレステロール値の上昇はありませんでした。

 ネオーラルの服用によって、肝臓の数値が悪くなったので、ネオーラルは早期に使用を中断しました が、ネオーラル中断以降も、ワセリンで希釈したステロイド外用剤は大量に使用し続けました。

 ワセリンで希釈したステロイド外用剤を大量に塗りたくっていた時期でさえ、血中コレステロール値の 上昇はなかったのです。

 つまり、ステロイド外用剤を大量に塗布しても、血中濃度に反映される程までコレステロールは増えな いのです。

 ところが、その一方で、魚介類など、コレステロールを多く含有する食材をたらふく食った際に、血中 コレステロール値は急上昇し、その血が体中の細胞へ運ばれることになります。

 だから、「皮下に酸化コレステロールがあればステロイド依存状態になる」というのであれば、「魚介 類を食えばステロイド依存症になる」も同時に成立するのです。

 体中の細胞へ血液から栄養素が行き渡っているのだから当然ですね。

 ね♪ この新説がオカシイということが理解して頂けると思います。


 さらにいえば、この新説は、私の体とムジュンしています。

 いうまでもなく、私自身が脱ステロイド療法を体験済みです。

 脱ステロイドの開始から直ぐは、それまでステロイド外用剤を使用していた部位が悪化しました。

 これは、ステロイドで抑えなければならない炎症があったのだから当然です。

 そして炎症は全身へ広がり、その症状は「ステロイド外用剤を使用していた部位」よりも「それまでス テロイド外用剤を使っていなかった(脱ステロイドを始めるまで炎症がなかった)部位」の方が酷かった のです。

 その点も、この論文と齟齬します。

 > 元のアトピー性皮膚炎とは異なり、ステロイドを塗った場所に
 > 特異的にすき間のない炎症が出現してくる。
 > 全身反応なので、ステロイドを塗らない場所にさえ広がる。

 のですから、症状の酷さは [ ステロイドを塗った場所 ] > [ ステロイドを塗らない場所 ] のハズです。

 でも実際は逆なんです。 これはおかしいでしょう。


 そして私は予想を遥かに上回る症状の悪化に音を上げ、脱ステロイド療法からリタイアしてしまいまし た。

 京都にある(脱ステロイド療法からのリタイア組を受け入れることで有名な)某病院に駆け込み、そこ でマトモな漢方薬とワセリンで希釈した強めのステロイド外用剤を処方して貰って人間の体を取り戻し ました。

 脱ステロイド療法を始める前の体に戻ったワケではありません。

 驚くべきことに、脱ステロイド療法を始める前と後で、炎症の発生し易い場所が変化してしまいまし た。

 脱ステロイド治療を始める前は、アトピー性皮膚炎が発症する場所は、膝の内側,肘の内側,背中 の下の方,そしてキンタマくらいしかありませんでした。
 多くのアトピー性皮膚炎患者が悩んでおられる顔や首,胸への発症は殆ど無かったのです。

 ところが、脱ステロイドに挫折してステロイド療法を再開し、全身の症状が落ち着いて以降は、ステロ イド外用剤まったく塗らなくても膝の内側,肘の内側,背中の下の方,キンタマ・・・いずれにも炎症は起 こりません。

 それらの部位は今も完全放置状態で全く問題がありません。

 しかし、脱ステロイド前に全く炎症の発生しなかった部位、つまり顔や首,胸から腕や肩,脚,腰・・・ およそ脱ステロイド前に健康な肌だった部位のほぼすべてがステロイド外用剤の塗布を長期間怠ると 皮膚炎を発症する厄介な肌に変貌してしまいました。

 これもまた、この論文と齟齬します。

 私は脱ステロイドを途中で挫折したのです。

 もし、脱ステロイドを完遂して、皮下に溜った酸化コレステロールが完全に排出された後というのであ れば、脱ステロイド前と後で、炎症の発生場所が変わる理由に説明が付きましょう。
 ですが、私は脱ステロイドを途中で挫折したのです。
 皮下に溜った酸化コレステロールが少しばかり排出された段階で、ステロイド外用剤を大量投与した のです。
 脱ステロイドで悪化した症状がステロイド治療で緩和された頃に、皮下に溜った酸化コレステロール の量は、 [ 脱ステロイド前に炎症のあった部位 ] > [ 脱ステロイドで炎症が起こった部位 ] です。

 それが何で脱ステロイド前に炎症のあった部位がまったくの健康になって、脱ステロイドで始めて炎 症が起こった部位が慢性化してしまうんですか。

 かんぜんにムジュンしています。

 ステロイド皮膚賞やリバウンドの仕組みは、今もリアルタイムに、世界中の科学者がその仕組みを解 明しようと頑張っている難問です。

 それをどうして

       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
   /  .`´  \
     ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (・∀・∩< わかった! ○○に違いない
    (つ  丿 \_________
    ⊂_ ノ
      (_)

 って結論付けてしまうことが出来るのでしょうか。



 ・・・どうしてこんな素人の思い付きを専門家が論文に書いてしまうんだろう?

 と思いながら、論文の置かれたwebサイトを見て凍りつきました。

 > 新潟大学医学部医動物学教授 安保 徹

 ( ゚д゚)

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚д゚)

 (つд⊂)ゴシゴシ
   _, ._
 (;゚ Д゚) 医 動 物 学 て・・・そりゃ感染症は感染症でも寄生虫学じゃありませんか

 アトピー性皮膚炎の専門家どころか、皮膚科医ですらない。

 まぁ、論文の(3)で文章を引用していた本の著者は皮膚科医なので、もしかしたらそちらの学説なの か?と思ったのですが・・・

 http://www.amazon.co.jp/ステロイド依存―ステロイドを止めたいアトピー性皮膚炎患者のために-深 谷-元継/dp/4806804258

 http://www5c.biglobe.ne.jp/~atopy/bookfukaya1.htm

 http://orthomolecule.jugem.jp/?eid=356

 http://www18.ocn.ne.jp/~steroids/

 http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=201400

 http://blog.m3.com/steroidwithdrawal/

 ・・・違うみたい。

 http://www.youtube.com/watch?v=v6ks14ZhlQY

 氏が作成した↑この動画に至っては、「脱ステロイド開始後は経過観察を厳重に行い、原疾患のある アトピー性皮膚炎で脱ステロイドを継続しないように」と警告までしている。

 深谷元継氏は、原疾患があるのに脱ステロイドを強要する安易な脱ステロイド推奨医ではない。

 「原疾患のないステロイド皮膚症の人だけ脱ステロイドをしなさい」という真っ当な医者だ。

 やはり、このムジュンし捲りの論文は、この医動物学教授の発案であると考えるのがスジだろう。


 いやさ。

 私は「権威主義は正しくない」と考えているよ。

 「専門の肩書がない奴の発言は全部嘘だ」なんて言われたら、この脱ステロイドに警告を鳴らす文章 も、クルマの仕組みを解き明かす文章も完全否定されてしまいますからね。

 だけど、私が書いた脱ステロイドに警告を鳴らす文章は、ちゃんとした皮膚科医からクレームが付く 様なことがないアタリマエのことしか書いていないし、クルマの仕組みを解き明かす文章にしたって、そ の辺の本屋で売っている内燃工学や車両運動工学の本から化学式や運動式(大概はベクトル式)を 抜いて平易に説明しているに過ぎない。

 基本的に、まともな専門家の意見に「No!」と書いているわけではないのだ。

 クルマの仕組みを解き明かす文章の方に、元の工学書に載っていない記述もありますけど、その殆 どは工学書の内容を膨らましただけに過ぎません(いわゆる「一を聞いて十を知る」です。 私の場合は「十を聞い て十一を知る」のレベルで、しかも偶に間違っていますけど)


 脱ステロイドビジネスが成立する前提条件に、既存の医療に対する不信感があることは理解できま す。

 だから「皮膚疾患の専門家はステロイドを売って金儲けをする悪魔だ」という仮定で「ステロイドを処 方する皮膚科医の言う事は嘘」まではアリとしましょうよ。

 だけど「ステロイドを処方する皮膚科医の言う事は嘘」⇒「ステロイドを否定する奴の言う事は皮膚科 医じゃなくても真実」はナシでしょう。

 せめて「意見の分かれる専門家のどちらを信用するか」に留めるべきではありませんか。

 キーワードを「酸化コレステロール炎」にして検索してみると見事な迄に、脱ステロイドビジネスの連中 が、揃いも揃ってこの論文を金科玉条の様に扱っていました。

 安保徹センセイは教祖サマみたいなモノですね。

 信じると救われなくなってしまう宗教『脱ステロイド教』の、ですが。



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