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トランスファー

何故ATFの粘度が上がると伝達効率が落ちるのか。
 最近、【省燃費&パワーアップ用品】の項の『ATFクーラーで省燃費』のページがキナ臭いので、ちょ っと簡単に説明しておきます。

 ちなみにこの解説は、本来『ステーター』という部品の解説を混ぜて、トルクがコンバートする仕組みと 併せて説明すべきモノなのですが、より簡単にご理解頂くために「トルクがコンバートする仕組み」を省 いております。
 トルクがコンバートする仕組みについては、拙稿『滑るトルコンで加速度UP?』をご参照下さい。


 トルクコンバーターの説明に使われがちなのが二つの扇風機を向かい合わせにした図です。

 本来、この図はトルクコンバータの最大の特徴である「トルクをコンバートする機能」について説明す ることが全く出来ませんので、トルクコンバータの解説に用いるのは不適なのですが、「空冷式ATFクー ラーの増設で燃費が向上する」と主張しているサイトもこの図を使っていますので、とりあえずその図を 脳内に浮かべる事で理解を促す解説を致します。

 [ 図もしくは写真は後日UPします。 とり急ぎ解説まで ] 

 首振り機能を停止させた2台の扇風機を向かい合わせに置き、片方の電源を入れると、電源を入れ た扇風機が風を起こします。
 向かい合わせたもう一方の扇風機は、この風を受けて羽を回します。
 
 この仕組みを理解する上で一番重要なことは、受動的に回っている羽は [ 風に因って回っている ]  のであって、 [ 電源の入った扇風機の羽が空気を捻じって、その捻じりに因って回っている ] のではな い、という点です。

 したがって、空冷式ATFクーラーの増設で燃費が向上するためには、この向かい合わせた扇風機に 於いて「風が強くなる」以外の如何なる理由も存在しません。

 では、ATFの粘度が高くなる → 扇風機の実験に於いて空気の粘度が高くなると、果たして風は強く なるのでしょうか?


 考えるまでも無いと思いますが、更にヒントを出しましょう。

 電源の入った扇風機の羽が風を送るとは、羽で空気の粒を投げているのと同じだと考えることができ ます。

 投げられた空気の粒は、扇風機同士の間に在った空気の粒を押し退けて、電源の入っていない扇風 機の羽まで到達し、羽にぶつかって羽を回すのです。

 ということは、空気の粘度が上がると云う事は、扇風機同士の間に在った空気の粒を押し退けるため に沢山のエネルギーを損失するという事になります。

 もう答えは判りましたね。

 そう「扇風機の実験に於いて空気の粘度が高くなると、(電源の入っていない扇風機の羽まで到達す る間に風が減衰してしまうので)電源の入っていない扇風機の羽の回り方が遅くなる」です。

 ATFの粘度の場合も本質的に同じことです。

 トルクコンバーターはポンプインペラーで圧送したATFの運動エネルギーをタービンインペラーで受け ることに因って回転運動を伝えています。
 ATFの粘度が上がると云う事は、ポンプインペラーで圧送したATFがタービンインペラー内側の壁を 押すまでの間に運動エネルギーを沢山損失してしまうことになるのです。

 だからATFの粘度が上がると伝達効率が落ちる(=燃費が悪化する)のです。


 ビスカスカップリングなどの流体継手とトルクコンバーターを同じに考えてはいけません。

 ビスカスカップリングなどの流体継手は [ 入力側が高粘度な粘性流体を捻じって、その捻じりに因っ て出力側へ回転運動を伝えている ] のです。
 ですから、ビスカスカップリングなどの流体継手は、中の粘性流体の粘度が上がれば伝達効率が向 上します。
 しかし、トルクコンバーターは流速の高いATFをタービンインぺラーに叩き付けることで動力を伝えて います。
 したがって、ATFの粘度が高くなればタービンインペラーへ届くまでにエネルギーが損失して効率が落 ちるのです。

 高速で流れる流体の粘度が上がれば流れが悪くなる…至極アタリマエの事なのですよ。


 ★追伸★

 ただし、トルクコンバーター的に低粘度の方が伝達効率が良くても、粘度が低すぎると,ポンプや油 圧バルブでのオイルもれにより油圧低下を招き変速遅れなどを生じるおそれがあります。

 そのため、低粘度なATFは低粘度用に設計されたトランスミッションへ「のみ」供給するようにして下さ い。


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