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サスペンション

リアサスペンションのスプリングを硬くするとアンダーステア?オーバーステア?
★かめさまよりご指摘を賜り、一部内容を差し替えました(2007.04.21)。

【問】 リアサスペンションのスプリングを硬くするとアンダーステア傾向が弱まるのは何故?
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【答】スリックのようにLI上限まで荷重と摩擦力が比例するタイヤを装着した場合を除いて、リアサスペ ンションのスプリングを硬くするとアンダーステア傾向が弱まります。
 この理屈は既に当サイトの拙稿【【荷重移動】荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 006 「リアだ けが異常に柔らかいセッティングに生じる現象」 】および同【スタビライザーの強化】にて解説しておりま す。
 どちらも文章全体の真ん中あたりから解説し始めています。
 是非ご一読ください。

 さて、「もう説明済みだよ〜ん」で終わらせるのはあまりに失礼かと存じ ますので、前後でロール剛性が異なる際に何故荷重の偏りが生じるのか?について、もう少し補足説 明しておきます。
 【【荷重移動】荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 006 「リアだけが異常に柔らかいセッティング に生じる現象」】および同【スタビライザーの強化】では車両の図を使いましたので、今度は違う図を使 うことにします。

 

 正直言って、この図はあまり使いたくなかったのですが…(ロールセンタという概念が嫌いなんですよ、私は。   本来なら、ロールセンタという概念を用いて説明されるアンチロールジオメトリをロワアームの角度を使って説明したくらいに)

 [ クルマのロール ] を図示してみました。
 図の下の方にある赤い◎がリアサスペンションのロールセンタ,青い◎がフロントサスペンションの ロールセンタです。
 この二つの◎を繋ぐ棒が [ ロール軸 ] であり、重心に遠心力という見掛け上の力が加わることに因 って、ロール軸回りにクルマが傾きます。

 つまり、こう↓

 

 ※ もちろん、ロールセンタはクルマの姿勢変化に伴って移動します。  したがって、ロールした瞬間 に上図は描き替わります。  ここでは、「ロールしようとする瞬間の図」と御理解下さい。


 そして、左右に伸びた棒の先A,B,C,Dをサスペンションスプリングが支えます。

 サスペンションスプリングに硬いバネを用いれば、サスペンション全体のロール剛性が高くなり、柔ら かいバネを用いれば、ロール剛性が低くなります。

 ここで気付いて頂きたいのは、片側2輪のサスペンションスプリング(つまり、A&C,もしくはB&Dを支えるバ ネ)の合計レートが一定であれば、フロントのバネが強くてリアのバネが弱くても、逆にリアのバネが強く てフロントのバネが弱くても、サスペンション全体のロール剛性は変わらないという点です。

 たとえば、前後とも3kg/mmのバネを使った場合の合計ばねレートは片側6kg/mmですが、前に5kg/ mmのバネを使い、後ろに1kg/mmのバネを使った場合も片側の合計ばねレートも6kg/mm。  逆に 前に1kg/mmのバネを使い、後ろに5kg/mmのバネを使った場合も片側の合計ばねレートも6kg/mm になるワケです。

 ということは…

 ロールはロール軸回りに傾きますから、片側のばねレートが同じなら、3kg/mm+3kg/mmであろう と、1kg/mm+5kg/mmであろうと、ロール量は変わらないことになります。

 では、片側の合計ばねレートが同じ6kg/mmだとして、同じだけロールしている3kg/mm+3kg/mmの クルマと1kg/mm+5kg/mmのクルマは何が違うのでしょうか?

 答えは、「荷重移動量の偏りが違う」です。

 俯瞰して重心が中心にあるクルマが200kg荷重移動した時、3kg/mm+3kg/mmのクルマは前輪も 後輪も100kg/mmずつの荷重移動量ですが、1kg/mm+5kg/mmのクルマは5kg/mm側のタイヤに掛 かる荷重が大きくなるのです。



 では、それを二種類の秤を用いて説明してみることにしましょう。

 最大計量500gの秤と最大計量2.5kgの秤を2台ずつ用意したと仮定します。

 まずは、単体で荷物を載せてみます。

 
 
 同じことを最大計量2.5kgの秤で行うと…

 

 では、次に同じ秤を2台繋いだ特製秤に荷物を載せてみましょう。

 上で示したロールセンターとロールの概念図でいえば、棒の先AとCが秤の皿を押す格好になりま す。

 まずは、最大計量500gの秤から。

 

 次に同じことを最大計量2.5kgの秤で行うと…

 
 
 ここまでの「同じ秤同士を繋いだ例」が、先述の「3kg/mm+3kg/mmのクルマ」だということは御理解 頂いていますね?
 図にしませんでしたが、300g/目盛りの秤を2台繋いで1kgの荷物を載せても、秤の示す重さは500 gずつです。

 ではさて。

 次が「1kg/mm+5kg/mmのクルマ」の喩え話です。
 はたして、1kgの荷物はどう量られるのでしょうか?

 


 さてさて、同じ秤を繋いで量った時、秤が示す重さは、最大計量500gの秤同士の時も、最大計量 2500gの秤同士の時も「500g」でした。

 ところが、最大計量500gの秤と最大計量2500gの秤を繋いで量った場合は、167gと834gという異なっ た表示になりました。

 つまり、ばねレートの高い方に荷重が偏ったわけです。

 同じことがクルマのサスペンションでも起こります。
 前後でロール剛性が異なる場合に、ロール剛性の高い側に荷重が偏るのです。

 [ フロントサスペンションのロール剛性 ] > [ リアサスペンションのロール剛性 ]
なら、左右方向の総荷重移動量の多くがフロントサスペンションへ偏り

 [ フロントサスペンションのロール剛性 ] < [ リアサスペンションのロール剛性 ]
なら、左右方向の総荷重移動量の多くがリアサスペンションへ偏るのです。


※ なお、このようにフロントのロール剛性をリアよりも著しく高めた場合、効きの強い機械式LSDを装着したFF車において、強 い横Gの掛かる旋回中にオーバーステアの挙動を示すことがあります。
 その理屈を【荷重移動】荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 006 「ロールと重心高さの関係 および リアだけが異常に 柔らかいセッティングに生じる現象」へ記載しております。
 よろしければご参照下さいませ。

 クルマの話なんだからクルマの図の方が分かり易いような気もしますが、秤の図の方が判り易いと感 じられた方も居られるでしょう(居なかったりして(汗))。
 
 ではまた♪


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