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サスペンション

ロールセンターアジャスター
【問】ロールセンターアジャスターっていうパーツを取り付けたんだけど、イマイチ効果を感じないのは何 故?
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【答】まずは、ロールセンターアジャスターというパーツの商品説明から。

 拙稿、『荷重移動についてもう少しだけ詳しい話』を読んで頂ければお分かりの通り、前方(もしくは後 方)から見て“ハ”の字になっているロワアームは、アンチロールジオメトリを持ちます。

 つまり、ロワアームの角度によってロール剛性が変わるのですが、この理屈を幾何学的に説明した のが「ロールセンター」という概念です。
 幾何学を三角関数あたりで挫折したような人(=私)には難しい話ですので詳しい説明は割愛します が、 [ 前方(もしくは後方)から見てロワアームが“ハ”の字 ] = [ ロールセンターが高い ] 、 [ 前方(も しくは後方)から見てロワアームが“逆ハ”の字 ] = [ ロールセンターが低い ] という理解で概ね間違っ ていません。
 ロールセンターアジャスターとは、車高短でロールセンターが低くなってしまった(=前方(もしくは後 方)から見てロワアームが“逆ハ”の字になってしまった)ロワアームに下駄を履かせて、ロールセンタ ーを高く(=前方(もしくは後方)から見てロワアームを“ハ”の字に)するパーツなのです。

 ということは、ロールセンターアジャスターを装着した車高短車輌は、ロールセンターアジャスターを装 着した側のロワアームがアンチロールジオメトリを発揮しますので、ロール剛性が高くなることになりま す。
 さて、web検索して分かるのが、チューニングパーツメーカーから発売されているロールセンターアジ ャスターという商品の大半が前輪用のみだという驚愕の事実(車種によっては、前後両方を販売してい るメーカーもあるが)。
☆スバル車用:http://www.zerosports.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=540(リンク切れ)
☆トヨタMR2用:http://www.tbs-motorsports.com/suspension/main4.html
☆日産車用:http://www.superlap.jp/item_list/146/
        http://www.superlap.jp/item_list/3/
        http://www.superlap.jp/item_list/9/
        http://www.motorsportscom.info/parts/detail.php?no=035

 ここで思い出して欲しいのが、拙稿『荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 vol.6』あるいは『スタビ ライザーの強化』における荷重移動の偏りに関する解説です。
 「フロントのバネを固めて(あるいはフロントのスタビライザーを強化して)フロントサスペンションのロ ール剛性で車輌のロールを抑制すると、リアのバネが本来縮むべき長さに縮まないことに因って、フロ ント側に荷重移動量が偏る」というハナシでしたよね。
 ロールセンターアジャスターをフロントサスペンションにのみ装着すると、同じことが起こります。
 [ ロールセンターが高くなる ] = [ ロール剛性大 ] ですから、フロントサスペンションのロール剛性で 車輌のロールを抑制すると、リアのバネが本来縮むべき長さに縮まないことに因って、フロント側に荷 重移動量が偏ります。
 ですから、(少なくとも荷重移動量にのみ注視すれば)ロールセンターアジャスターの装着によって、 普通のラジアルタイヤを履く車高短車輌は、アンダーステア傾向が強まることになります。

 ところが、ロールセンターアジャスターはロール剛性の変化以外にも効果をもたらします。
 拙稿『荷重移動についてもう少しだけ詳しい話 vol.  ロールと曲がる』で説明しました通り、車高短 によって本来の設計と異なる角度にされたロワアームは、サスペンションの伸縮に伴って不適切なアラ イメント変化を起こします。
 こうした車高短車輌のロワアームの間違った角度が、ロールセンターアジャスターによって矯正され た場合、自動車メーカーの設計に近い本来のアライメント変化になります。
 それによって、タイヤが適切に接地出来てタイヤの性能が発揮できます。
 つまり、(少なくともアライメント変化にのみ注視すれば)ロールセンターアジャスターの装着によって、 車高短車輌は、アンダーステア傾向が弱まることになります。

 もうお分かりの通り。
 荷重移動量にのみ注視すれば、ロールセンターアジャスターの装着によって、普通のラジアルタイヤ を履く車高短車輌は、アンダーステア傾向が強まり、
 アライメント変化にのみ注視すれば、ロールセンターアジャスターの装着によって、車高短車輌は、ア ンダーステア傾向が弱まることになります。
 結果として相殺しますので、普通のラジアルタイヤを履く車高短車輌は、ステア特性の変化が出難い のです。

 では、ロールセンターアジャスターは意味の無いパーツなのでしょうか?
 いえいえ、そんなことはありません。
 ロールセンターアジャスターの最大の効果は、アライメント変化の適正化にあります。
 不適正なアライメント変化は、タイヤの接地面圧を偏らせます。 それに伴う弊害がタイヤの発熱の 不均一化です。 接地圧の強い部位だけが熱くなり、早期に熱垂れが起こったり、編磨耗を起こしたり ます。
 ジムカーナのような短時間しか走らない競技はまだしも、その他のモータースポーツにおいて、タイヤ の温存は勝敗を決する重要な要素の一つです。
 したがって、車高短に拠る低重心化と適正なアライメント変化を得られるロールセンターアジャスター は良いパーツだと思います。
 フロントサスペンションのみに装着した場合に起こる荷重移動の偏りは問題アリですが、それはバネ レートやスタビライザーの変更で修正可能です。
 単に「ロールセンターアジャスターを装着したから善し」ではなく、トータルセッティングの見直しが必要 ですが、車高短オーナーが(買うお金があって)買うか否かであれば、私なら買いますね。


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