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アトピービジネスの間違いを暴け!

ステロイド外用剤で白内障になるのか?  ver.2
 何気なくウェヴサーフしていたら、白内障とアトピー性皮膚炎の関係について、看過できない文章が ありましたので紹介しておきます。

> 「 (ステロイド剤の使用と眼障害の関係)
長期間ステロイド剤を使用してきた重症アトピー性皮膚炎の方に、網膜剥離や白内障や緑内障などの 眼障害を受けている方が非常に多いことに気付きます。最悪の場合”失明”という悲惨な状況です。医 者は”アトピーと眼障害”との関連を主張し、”ステロイドと眼障害”の関係を否定しますが、ステロイド剤 の使用期間と使用量などと発病者を重ねて見てみると、そこには決して無視できない因果関係が存在 すると思います。
・・・この文章を読んだ人は、全員が「これは医師が書いた文章なのだろうな」と思ったことでしょう。
 正直言って私もそう思いました。
 しかし、このホームページの著者は、医師ではありません。
 脱ステロイドを推奨する各種サイトの記事にマインドコントロールされてしまった「ステロイド被害を憂 う善意の人」なのです(※実は、そうではないのですが、それは後述)。  こうした「ステロイド被害を憂 う善意の人」が作ったホームページを逐一俎上に上げて叩くことは、簡単ですがキリがありません。
 今回、特別にこの人のホームページを俎上に上げますが、本Q&Aにおいて叩かれなかったからとい って、正しいことが書いてあるとは限りません。
 ネット上には、無茶苦茶な脱ステロイド推奨理論が、満ち溢れ過ぎているのです。
 本音を言うと、仕事を辞めてでも時間を作って、全部虱潰しに叩いていきたいのですが。

> 真実は「アトピー患者に眼障害の患者さんが多い」のではなく、「アトピーでステロイドを長期連用して いる患者さんに眼障害の患者さんが多い」が正しい認識なのです!この事実を裏付けるのは簡単で す。アトピーで眼障害が出てしまった患者さんに、ステロイドの長期連用の有無を問えば簡単に立証で きます。なぜなら、ステロイドの使用が無いアトピーの患者さんに眼障害が出ている例が、まず殆ど無 いからです!
・・・「ステロイドの使用が無いアトピーの患者さんに眼障害が出ている例が、まず殆ど無い」というので あれば、ステロイド外用剤をアトピー性皮膚炎の治療に使い始めた時期から数年以降経って、アトピー 性皮膚炎患者に於ける白内障の発生率が著しく増加していなければなりません。
 しかし、そのような統計はありません。
 ステロイド外用剤の長期連用者(正しくは長期連用した後に脱ステロイドを行ったアトピー性皮膚炎患 者)に白内障発生率が高いのは、それだけアトピー性皮膚炎の症状が酷いからです。

> 「脱ステロイド療法は網膜剥離や白内障・緑内障を引き起こす」かのように書かれた今回の記事は、 全くのデタラメです!脱ステロイドで網膜剥離や白内障・緑内障を生じてしまった方は、皆さん決まって 相当ステロイドを使われていた方々です。眼障害の発生の原因がどこにあるかは明白です!それはス テロイドを断った事が原因なのではなく、ステロイドを使った事に原因があるのです!!
・・・人として相当に頭が悪い文章です。
 ステロイドを使っていなかった人は、脱ステロイドをすることができません。
 少なくとも「脱ステロイド」は、ステロイドを使っていた人だけが行うことができます。
 そして、ステロイドの使用を中断して、「脱ステロイド状態」と呼ばれる著しい症状の悪化に至ってしま う人は、相当量・相当強さのステロイドで炎症を抑えていた人です。
 「相当ステロイドを使われていた方々」でなければ「脱ステロイド状態」になることはできないのですか ら、「脱ステロイドで網膜剥離や白内障・緑内障を生じてしまった方は、皆さん決まって相当ステロイドを 使われていた方々」なのは、当たり前です。

> 先日読売新聞の朝刊に”ステロイドと眼障害の関係”が掲載されていました。緑内障(眼球の内圧に 異常が起きて視神経に障害を起こし、放置すると失明する病気。)は遺伝子の異常により発病する事 が分かっています。 これはTIGRという遺伝子に変異がある事が原因の様なのですが ステロイドを使 った時に生じるたんぱく質と TIGRという遺伝子が作るたんぱく質が同じである事が分かりました。 こ の事は間接的ではありますが、ステロイドの副作用で緑内障が発症する と言う事の証明ではないかと 思われます。
・・・「ステロイドを使った時にTIGRという遺伝子を変異させる」というなら、「ステロイドの副作用で緑内 障が発症する」という結論も納得できます。
 しかし、「ステロイドを使った時に生じるたんぱく質」と「TIGRという遺伝子が作るたんぱく質」が同じで あっても、それは「ステロイドが作ったたんぱく質がTIGRという遺伝子を変異させる」という意味ではあり ません。
 これは、「AはBを生産する」 → 「CもBを生産する」 → 「したがって、Cに起る異常はAに起因する」と いう無茶苦茶な三段論法です。
 幾ら何でも人を騙す詐話としてチャチ過ぎますよ(笑)。





※さて、冒頭で「「ステロイド被害を憂う善意の人」なのです」と書きました。
 しかし、この人のホームページは、日本オムバスの自宅温泉湯治療法を強く勧めるアトピービジネス の広告サイトなのです(アトピービジネスの先鋒か否かを見極めるべく、注意深く読めば簡単に見破る ことができます)。
 今更言うまでも無く、自宅温泉湯治療法は、異常に費用が馬鹿高く(年間数百万円!!)、それでい て循環湯に繁殖する細菌などに因る感染症の虞があります。  脱ステロイドで爛れた皮膚は非常に 簡単に感染症になるため、循環湯に浸かることは、自殺行為に近いと言っても過言ではありません。
 あるいはひょっとして、この人はあくまで善意で「自分に効果のあった脱ステロイド方法」を勧めている だけなのかもしれません。   しかし、そうであっても、紐なしバンジージャンプにも等しい自宅温泉湯 治療法を強く勧めるのは褒められたことではありません。  トップページのカウント数が(平成16年3月 初め時点で)28万弱!ですから、これに騙されて地獄を見た原疾患を持つアトピー性皮膚炎患者の被 害者数を想像すると身の毛がよだちます。



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