安全性能
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【問・衝突安全性】
安いクルマはボディ剛性が低いと聞きました。
では、安いクルマは安全性に劣るのですか?
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【答】 ボディ剛性とボディ強度は同じ意味ではありませんよ。
ボディ剛性は、サスペンションからの入力に対してサスペンションの取り付け位置の座標(空間座標
では無く、ボディ全体に対する座標)が変化し難いという意味。
一方、ボディ強度は、衝突などに対する「破壊され難さ」の意味です。
たしかに古い技術で設計されたクルマの場合、[ボディ剛性]≒[ボディ強度]でした。
しかし、現在の車体設計技術で作られたクルマは、たとえボディ全体の剛性が低くても、衝突安全性
に必要なボディ強度は確保されています。
現在の車体設計においては「始めに衝突安全性ありき」なのです。
現在の車体設計では、搭乗者の居住空間(キャビン)を可能な限り高剛度に設計し、その前後(エン
ジンルームやトランクルーム)を低剛度に設計しています。
これは衝突の際のエネルギーを、低剛度な空間が破壊される事で消費し、搭乗者の衝撃を和らげる
という発想に基づいています。
したがって、只単に移動手段として供給されるクルマの場合、キャビンは高剛性・高強度でも、キャビ
ン以外は低剛性・低強度なのです。
サスペンションが取り付けられる箇所はキャビンの外です。
ですから、そのようなクルマのサスペンションの取り付け位置の座標は小さな入力に対してでも容易
に変化してしまいます。
もちろんそれはクルマの運動性能に影を落としますが、路面からの入力を逃がすという働きもします
ので、乗り心地を優先する車種においては歓迎される事なのです。
しかし、高出力エンジンを搭載したスポーティな車種では、その様な構造のボディは歓迎されません。
その為、たとえベース車輌が乗り心地優先な車種であっても、要所要所に補強を入れるなどしてサス
ペンション取り付け位置の座標が変化し難いようにしてあります。
その差がボディ剛性の違いとして語られるのです。
現在のクルマは乗り心地優先なら、キャビンは高剛性・高強度でも、キャビン以外は低剛性・低強
度。
走行性能重視なら、キャビンもキャビン以外も高剛性。ただしキャビン以外で高強度なのはサスペン
ション取り付け部付近だけ。
衝突時に衝撃を吸収すべき部分(クラッシャブルエリア)は低強度です。
ですから、決してボディ剛性の低いクルマの衝突安全性が低いという事ではありません。
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