基督暦2022年10月10日 クルマ雑学へ追加
Q : 左足ブレーキは危ない
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A : クルマのペダルレイアウトは最初の一台から今に至るまでず〜と同じだったワケではありません。
たとえば、トヨタが自社の博物館に所蔵していて、年に一回、一度だけ希望者の中から抽選で一名を
選んでデモンストレーション走行をさせて貰える旧車『フォードT型』は床にアクセルが無く、ステアリン
グ・コラムから右側に生えたレバーがアクセルでした。
フ ォードT型の床から生えている三本のペダルは、右から順にブレーキ,リバース(バック),クラッチ
でした。
今とは全然違いますね。 黎明期は何処のメーカーもどうすれば安全に走ることが出来るのか?を
真剣に悩み切磋琢磨し続けて来ました。 そういう歴史の上に、今の右から順にアクセル,ブレーキ,
クラッチがあります。 これが最適解という保証は何処にもありませんが、まぁ、共通認識としてコレで
落ち着いたワケです。
では、クルマ板に良く書き込まれる左足ブレーキ否定派の主張を各個論破してまいりましょう。
否定派主張 「 左足で踏む方が右足で踏むよりも踏み替えの時間が短いと主張されるが
それが事故を回避するような状況なんかそうそうないぞ 」
圭坊の反論 「 だというなら、いままで貴方が幸運だったに過ぎません。
時速60kmで走る車両は 60000 ÷ 3600 で秒速16.667メートルです。
危険を認識してからブレーキペダルを踏むまでの時間は若い健康な人で半秒位。
半秒でクルマは8.333メートル進みます。
これが左足ブレーキで半減できれば (実際はもっと短くなります)4.167まで縮む。
直前で止まるか、それとも小型車両一台分の全長をオーバーランして轢くか。
これだけの差が生じます。
ついでに、制動距離が右足でブレーキを踏んだ所為で左足ブレーキなら止まって
いたクルマの速度も計算しておきましょう。
減速Gが1だったと仮定すると4.167メートルの高さからクルマを自由落下させるの
と同じですから計算は楽です。
その地点から制止に至るまでの制動時間=0.922秒
その地点の通過速度=秒速9.040メートル=時速32,545km
生活道路をほぼほぼ制限速度を遵守しているクルマに轢かれるような感じ。
対人なら普通に大怪我ですし、対乗用車なら廃車かも知れませんね 」
否定派主張 「 クルマはブレーキを左足で踏むようには設計されていない 」
圭坊の反論 「 おや? BMWのユーザーさんかな?
BMWのような一部の勘違った自動車メーカーは、MTの設定があるスポーツグレ
ードのAT仕様を造る際にブレーキペダルをMTと同じものにて
『 ウチのATはそこいらの腑抜けたATとは一味違う 』
ってユーザーを洗脳しようとしていますが、ATはAT。
AT同士に貴賎の差はありません。
ブレーキペダルでユーザーを洗脳しようとしないマトモなメーカーが造るATの
ブレーキペダルはMTのブレーキペダルよりも横幅が長く造られています。
これは 『ブレーキペダルを踏み外さないため』であり、同時に『左足でもブレーキ
ブレーキを踏み易くするため』でもあります 」
否定派主張 「 左足でフットレスとを踏み絞ることで体が安定して右足で強いブレーキが踏める。
左足でブレーキが踏めるのはバケットシートにフルハーネスで体を固定してるから。
普通の座席に三点式シートベルトで左足ブレーキは体が安定しないので危険 」
圭坊の反論 「 じゃあ、MTユーザーは強くエンジンブレーキを効かせるためにH&Tなんかしちゃ
ったら、体が不安定になって事故っちゃうねw
んなわけねーじゃんw
他のページで解説しているから此処では端折るけど、HANSが使えない公道で
フルハーネスシートベルトは頚椎損傷のリスクがあるから私は使わない。
横Gに関しては確かにフルバケットじゃないと尻が動いて不安定だが、減速Gに
関しては三点式シートベルトで十分。
嘘だと思うなら、左足でフットレスとを踏み絞めての右足でもフル制動と左足を適
当な位置に置いての右足でのフル制動で制動距離を比べてみればいい。
貴方の着座姿勢が余程酷くない限りは、そんなことで制動距離は変わりません 」
否定派主張 「 左足ブレーキは習得が困難。 特に一旦3ペダルのMT車に乗ったことがある人は
クラッチペダルを一気に奥まで踏み抜く癖が付いているので急ブレーキに成り易く
公道では追突事故を誘発しかねない 」
圭坊の反論 「 残念ながら、これに関しては概ね同意せざるを得ない。
しかし、人間はそんなに不器用ではない。
遊園地でゴーカートに乗ったことがある人なら誰でも知っていることだが、特殊な
ゴーカートを除いて普通のゴーカートはほぼ全てが右足がアクセル専用で、左足が
ブレ−キ専用になっている。
遊園地で子供と一緒に乗ったパパやママが
『左足でブレーキを踏んだことがないから運転できない』
なんて言う場面に出会したことなんかない。
どのお父さんもどのお母さんも器用に左足ブレーキを駆使してコースを回っている。
同じことが公道で自分のクルマだと出来ないってコトはない。
やれば誰だって公道で普通に出来る。 出来ないのではない。 やらないだけだ 」
否定派主張 「 一旦左足ブレーキを身に付けたら、今度はMT車が乗れなくなる 」
圭坊の反論 「 そんなあぼがどばなな。
もともと私が左足ブレーキをマスターしようと考えたのは、モータースポーツのダー
トトライアルに誘われて、ダートトライアルに参加するならアンダーステア封じのテ
クニックでもある左足ブレーキの習得が最低ラインだと言われたから。
結局、ダートトライアルには参加しなかったのだけれども、もともとがMT車を運転
する技術のひとつとして身に付けたので、左足ブレーキをマスター出来た後でも
MT車の運転に支障は無い。
左足ブレーキを拾得して得られたモノは少なくなかった。
まず、踏み替え時間が短縮されたおかげでポンコツなブレーキ性能でも安心して
運転することができるようになった。
長距離運転の際に足の負担を左右に分配することで疲れ難くなった。
もちろん、最初の目論見通りに運転の選択肢に幅ができた。
残念ながら左足チョンブレーキでのアンダーステア封じは、ブレーキ・オーバーライ
ド・システムが普及することによって意味がなくなってしまいましたが、それでも少し
の制動から素早く加速する時などは左足ブレーキが活躍します 」
※ 解説
・ H&T(heel and toe) = MT車でギアを下げる際に、左足でクラッチを踏んだまま右足の指でブレー
キを踏みつつ右足の踵でアクセルを煽ってエンジンの回転数を合わせる技術。 今はオートブリッピン
グシステムが普及しているので過去の技術になりつつあるが、旧車はコレができなきゃ話にならな。
・ HANS(Head and Neck Support) = ヘルメットと首のサポーターを紐状のもので繋ぐような構造で、
事故に遭っても頭部が慣性運動で前に行かないようにすることで、主に頚椎の損傷を防ぐことが出来
る。 構造上、ヘルメットとフルハーネスシートベルトの着用が前提になる。
・ ダートトライアル = 未舗装の不整地を高速で駆け抜けるモータースポーツ。 サーキット走行とは違
い、一台一台、干渉しない時間差で出走する。
・ ブレーキ・オーバーライド・システム = アクセルとブレーキが同時に踏まれた際に、ブレーキの動作
を優先するシステム。
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