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ブレーキ

 ブレーキロックと制動距離 2007.02.02 念のため、簡単な記事を追加
【問】 ブレーキロックさせると制動距離が延びると言われます。
 その一方で、時速80キロメートル以下でのフル制動は、
4輪ロックの方が短いとも言います。
 時速80キロメートルの上と下で何が違うのでしょうか?  
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【答】 最初にお断りしておかなくてはならないのは、質問の文中にある「時速80キロメートル」という速 度は、普通の乗用車が乾いたアスファルトの路面で純正装着のタイヤをロックさせた時の数値だと言う 事です。
 しかも、目安でしかありません。

 それは、仮定条件における数値と捉えるとして、その「時速80キロメートル」の上と下で何が違うのか 検討してみましょう。

 まず、タイヤがロックしている時、クルマはブレーキシステムの如何なる働きに因って速度を落とすの でしょうか?
 この時、ブレーキシステムはタイヤの回転を止めているだけですので、クルマの運動エネルギーを消 費しません。
 いってみれば、走行中に自転車の鍵を掛けた様な状態です。
 この時、回転の止まったタイヤは、地面と激しく擦れ合います。
 この摩擦によって熱が生じます。
 これはクルマの運動エネルギーが、摩擦熱に変換されて生じた熱なのです。
 つまり、運動エネルギーが熱変換して消費された事に因ってクルマが減速するのですね。

 一方、タイヤがロックしていない時、クルマはブレーキシステムの如何なる働きに因って速度を落とす のでしょうか?
 ひとつはブレーキパッド(またはブレーキシュー)が、ブレーキローター(またはブレーキドラム)と強く 擦れ合う事に因って生じる摩擦熱です。
 つまり、運動エネルギーを熱変換して消費するのですね。
 もうひとつはタイヤが地面と地面と擦れ合う事に因って生じる摩擦熱です。
 これは、タイヤがロックしている時に生じた分に比べれば小さい熱量ですが、それでも運動エネルギ ーを熱変換して消費します。

 という訳で
★タイヤロック有り⇒タイヤと路面との摩擦熱大 & ブレーキシステムの発熱無し
★タイヤロック無し⇒タイヤと路面との摩擦力小 & ブレーキシステムの発熱大
となります。
 この [タイヤと路面との摩擦熱]+[ブレーキシステムの発熱]が最大になるのが、最も効率の良いブレ ーキだという訳ですね。

 ですから、普通の乗用車が乾いたアスファルトの路面を純正装着のタイヤで走っている場合、時速8 0キロメートルまでは、タイヤをロックさせて得られる「タイヤと路面との摩擦力大」の方が、タイヤをロッ クしないで得られる「タイヤと路面との摩擦力小&ブレーキシステムの発熱大」よりも高効率だという話 なのです。

 ですから、この目安となる「時速80キロメートル」は、路面コンディションや、タイヤ・サスペンション性 能で大きく変わります。

 たとえば、雨で濡れたウエットコンディションの場合、タイヤをロックさせて得られる「タイヤと路面との 摩擦力大」が余り大きくありません。
 ですから、より低い速度で、タイヤをロックしないで得られる「タイヤと路面との摩擦力小&ブレーキシ ステムの発熱大」の方が高効率になります。
 だから、雨の日にブレーキロックさせると制動距離が著しく延び易く、「ブレーキコントロールが難し い」と言われるのです。




■■■2006.03.13 22:24■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 粘着クンから的外れなメール。
 こーゆー勘違いを犯している観客はいらっしゃらないと思いますが、念のために無視しないで応対 しておきます(ふう…タメイキ)。
※ またゴチャゴチャ言って来るとウザイので【ホームページNinjya2003】の非表示モードで封印していたのですが、同じ勘違い をしている善人な方が居られるとイケナイので、公開しておきます 2006.05.12。  幾ら粘着クンでも2ヶ月間もワッチしてい ないとおもいますので(これで反応があったら気持ち悪い)。


正しい答えは、
ドライアスファルト路面の場合ですが、

80km/hとはいいませんが、40km/hぐらいからのフル制動では、思いっきりブレーキを踏んで四輪ロッ クさせたほうがドライバーズベストでコントロールした場合より制動距離は短くなります。なぜなら後輪も 最大限に使いきれるからです。

(一般の車両は必ず前輪が先にロックするように設定されています。)

しかし速度が速くなった場合は、ドライバーズベストでフロントをブレーキロックギリギリでコントロールし た方が短く止まれます。
理由は、高速からタイヤがロックさせるとタイヤの接地面の温度が上がりタイヤが溶け、タイヤの性能 が一時的に低下し本来のタイヤのグリップ力を発揮できなくなる為なのです。
マクロ的にはブレーキロックさせると白煙が発生するので、ゴムが燃焼する温度以上になるわけです。
(ちなみに一般のタイヤの最もグリップが高い温度領域は20〜30℃です。)

炎天下や極低温の路面では、制動距離が伸びる事を知っていますか?
炎天下や極低温ではジムカーナのラップタイムが落ちる事を知っていますか?

要するに制動距離は、タイヤのグリップ性能に全てがかかっています。(タイヤをロックする事ができな い貧弱なブレーキシステムの場合を省く)

圭坊様の言う

[タイヤと路面との摩擦熱]+[ブレーキシステムの発熱]が最大になるのが、最も効率の良いブレーキだ という訳ですね。

という理論は制動距離には全く関係ありませんよ。良く考えてみてください。





 あはは面白い人ですね。
 アナタ、自分の言っていることが自分で理解できていますか?
 「制動距離は、タイヤのグリップ性能に全てかかっています
 ということは、「カム送り構造のような機構でタイヤをゆっくりと回して、路面との摩擦熱で熱くなった タイヤの接地面を冷えた面に切り替えていけば、ブレーキパッドとローターの摩擦力に頼らなくても 最大限の制動Gが得られる」ということになりますよ。  それで100%の制動力が得られるなら、軍用 航空機のギア(離着陸用の脚)にカーボン製の多板ディスクブレーキなんか仕込みませんって(熱でブローし ちゃうような代物より、カム送り構造のような機構の方が信頼性は高いですからね。  民間航空機の場合は、乗客に不愉快 のないようにカム送り機構のブレーキは使えないでしょうが。)
 
 また、「タイヤが熱垂れするから、ロック状態を解くようにコントロールしなければならない」ということ は、逆に言えば、「タイヤが熱垂れしなければ、タイヤはロック状態で最大の制動Gを 発揮する」という意味になりますよ。  そうすると、路面μが下がれば下がるほど「ロックさ せた方が短距離で止まる速度の最大値」が高速になってしまいます(言うまでも無く「路面 μが下がればロック状態での発熱量が下がり、接地面を頻繁に入れ替えなくてもタイヤが垂れ難くな る」からです)。  ドライが40km/hならウエットだと60km/hくらいになるんでしょうか? 
 私だったら路面μが下がれば下がるほど積極的に人力ABS操作をしますけどねぇ(掘られた雪が楔とな る積雪路はロック維持ですが、それはまた別の話)


 タイヤの熱垂れに言及しなかったのは、明らかに私の落ち度ですが、タイヤが熱垂れするからといっ て、それでブレーキシステムの熱変換が不要になるワケではありません。



 ・・・とかナンとか言う理屈以前の問題で。
 低い路面μに予想外のブレーキロックをさせて焦ったことのあるドライバーは少なくないでしょう。
 あのロックした瞬間に制動Gが抜ける(あたかも制動中のクルマが加速したかのようにさえ感じ る)嫌な感触を知っていれば、「制動距離は、タイヤのグリップ性能に 全てがかかっています」という発言は出ないと思うけどなぁ…



■□■2007.02。02 念のため記事を追加□■□

 なお、九割九分九厘の方に誤解は生じないと思いますが、念のために付記しておきます。
 
 [ 制動力 ] = [ タイヤの摩擦損失 ] + [ ブレーキシステムの摩擦損失 ] ですが、だからといっ てブレーキシステムを強化(パッドの摩擦係数増やパッド面積を広くしたり、ローター径を大きくしたりす るなど)したからといって制動Gが増えるわけではありません。
 ブレーキシステムの摩擦損失は、タイヤの回転を抑止する力です。  ですからタイヤの回転速度低 下率が同じなら、ブレーキシステムが発生している熱量はブレーキシステムの能力に関係が無いので す。
 たとえばスリップ率10%であるときにタイヤの摩擦損失が最大であるなら、タイヤのスリップ率を10% にしている時の[ ブレーキシステムの摩擦損失 ]は、純正の小さなブレーキでも、アルコン,ブレンボな どのビッグキャリパー&ビックロータでも同じです。

 もう少し分かり易くするため脳内実験しましょう。

 タイヤと路面の関係が、ステアリングシステムのラック&ピニオンのような噛み合いだと仮定します。
 つまり、歯車のようなタイヤが凸凸凸な突起と噛み合いながら回っているという状態です。
 実際にそんな歯車タイヤを使った場合、歯車の歯面に於ける摩擦がエネルギーを消費(損失)してし まいますが、定速巡航時と加減速時の差が少ないので、ここでは損失が無いものと仮定します。
 そうすると、ブレーキペダルを踏んで得られる制動は、単純にブレーキシステムの摩擦損失だけにな ります。
 もし、制動Gが(たとえば)0.5Gであったなら、ブレーキシステムは0.5Gで減速するだけの割合で運動 エネルギーを熱エネルギーに変換しているのです。
 運動エネルギーの熱変換量が同じなら、ブレーキシステムの最大能力の差は制動Gに影響しませ ん。

 実際のタイヤの場合は、この歯車タイヤの脳内実験と違ってタイヤが摩擦損失を生みます。
 だから [ 制動力 ] = [ タイヤの摩擦損失 ] + [ ブレーキシステムの摩擦損失 ] に成るのであ って、ブレーキが強力だから短い距離で止まれるワケではありません。
 ただし、純正のブレーキが、タイヤの摩擦損失が最大に成るスリップ率までタイヤの回転を拘束でき なかった場合は、ブレーキを強化することに拠って制動距離が短く出来ます。


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