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オイル及びオイル添加剤

 【添加剤】 〔6〕 マ○クロロンってどうよ。
【問】マ○クロロンってどうよ。
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【答】★文中において、用品店などで入手できるオイル添加剤は「市販の添加剤」また 「後足しの添加剤」と称しています。  これは、オイルメーカーが製造段階で添加 している様々な成分(清浄剤/酸化防止安定剤/錆止め剤/増粘剤/油性剤/極 圧剤など)と混同しないための表現です。  オイルメーカーが製造段階で添加してい る様々な成分は「オイルに予め含まれている成分」と称して区別しております。  予 め御了承の上お読み下さいます様お願い申し上げます★

★注釈★
 たいへん紛らわしいので、先に用語説明をしておきます。
■固体潤滑■
 固体(クルマの場合は主に金属)同士の摺動面の状態を表す言葉です。
 オイルなどの液体が間に挟まって、金属同士が全く接触することなく摺動している状態を『流体潤滑 (または液体潤滑)』と言い、逆に液体をほとんど挟むことなく金属同士が直接接触して摺動している状 態を『固体潤滑』と言います。
 また、液体を挟んではいるものの、局所局所で金属同士が直接接触して摺動している状態を『境界 潤滑』を言います。
 ですから、境界潤滑には、ほとんど流体潤滑と変わらない潤滑良好な状態から、ほとんど固体潤滑と 変わらない潤滑不良な状態まであります。
■固体潤滑材■
 オイルが液体であることに対比させて、テフロンやモリブデン、ボロンなどの非溶性潤滑材料を『固体 潤滑材』と称します。 固体潤滑をさせる材料という意味でもなければ、固体潤滑に効く材料という意味 でもありません。
 なお、テフロンやモリブデン、ボロンなどの非溶性潤滑材料を揮発性の液体に混入したものが、乾性 潤滑剤として市販されています。 当Q&Aでは、それらと区別するために『固体潤滑【材】』としていま すが、他のHPなどで使われている『固体潤滑剤』という表現と同じ意味に理解して頂いて結構です。


【答】まず、確認しておきたいのは、テフロンには極圧性能が期待できないということです。 これは開 発元のデュポン社が認めていますので厳然たる事実です。 したがって、パッケージに謳われているよ うな、「オイルが切れても○千キロ走れます」ということはテフロンの効能ではありません。 そして、現 実問題として、後足しの添加剤を加えなくても、オイルなし走行は不可能ではないのです。 実際に私 が使っていたマツダ社製2TONトラックは、メンテ管理が悪くてオイル上がりを起こし、オイルチェックラ ンプが点きっ放しの状態になっていたにもかかわらず、鋼材を満載し、お客様までお届けに行ってしま いました。 それでも、焼き付くことはありませんでした。 「結構丈夫なモンだなぁ」と感心したのを覚え ています。 もっとも、その後はエンジンノイズが大きくなり、煙吹きまくりで、高速道路の進入スロープ を登るのに時速40km程度しかだせない絶不調エンジンになってしまいましたが。

 しかし、だからといってテフロンが無能だというわけではなく、軽負荷下に於いて固体潤滑が起こりそ うな場合には、テフロン粒子のベアリング効果が期待できるでしょう。
 余談ですが、テフロンなどの固体潤滑剤が絶大な効力を発揮するのは、真空中です。 真空中では 金属表面に酸化皮膜が形成されませんので、地の金属同士が接触するために簡単に塑性凝着を起こ し、また、液体の潤滑剤は気化して蒸発してしまうため使い物になりません。 したがって、宇宙船の部 品などで、滑り材としての樹脂ブッシュなどを挟めない金属製の摺動部分には固体潤滑剤が有効とな ります。

 私は文才がありませんので、うだうだ述べ続けると論旨が不明瞭になりそうです。 以下に、テフロン 系固体潤滑材を含有する後足しの添加剤に関する代表的なF&Aを挙げて、論述に代えさせていただ きます。

【Q】テフロン系固体潤滑材をエンジンオイルに添加したら、コンプレッションが上がったんだけど。 こ れは摺動面の改質ではないの?
【A】別項でも述べましたが、液体に非溶解性の粉体が混ざると見かけ上の粘度が上がります。 この 所為で、エンジンオイルに固体潤滑材を混ぜるとコンプレッションが上がります。 コンプレッションが上 がったからと言って、摺動面が改質されたと見做すのは早計です。


【Q】マ○クロロンは、エンジンオイルに添加してもオイルの粘度が変化しないと聞きましたが?
【A】上述の通り、液体に非溶解性の粉体が混ざると見かけ上の粘度が上がります。 にもかかわらず 粘度が変わらないのであれば、それは、マ○クロロンに使われている溶剤の粘度が低いからです。
 前述の通り、テフロンに極圧性は期待できません。 しかし、自動車用オイルに極圧性は不可欠であ り、ベースオイルをそのままにして高温・高回転・高負荷下での潤滑性能を向上するためには油性と極 圧性を向上させるしかありません。 したがって、マ○クロロンに限らずテフロン系固体潤滑材を含有 する後足し添加剤は、溶剤に油性剤と極圧剤を含ませています。 これらの液体は基本的に低粘度で すので、テフロンによって増粘された分を相殺することがあります。


【Q】テフロン系固体潤滑材をエンジンオイルに混入すると、テフロンコーティングが成されるの?
【A】何を指して「テフロンコーティング」と称するかによって見解が異なると思われますが、フライパンな どに施されているテフロンコーティングと同様の樹脂皮膜を形成することは不可能です。 何故なら、テ フロンの融点は327℃という高さだからです。 これでは200℃にも満たない自動車用油脂に混入さ れたテフロンは溶融できません。
 吸着あるいは科学的結合ではない皮膜というものは、 接着剤や塗料などの例からも分かる通り、液 体で塗布されたものが固体になることによって形成されます。 常に固体の粉として振舞うテフロン系 固体潤滑材が、自動車油脂に混ぜられただけで皮膜を形成することはできません。


【Q】テフロン系固体潤滑材を含有する後足し添加剤は、無意味なの?
【A】他項と度々重複してしまいますが、個人的意見として、固体潤滑材を含有するいないに関係なく、 後足しの添加剤はお金の無駄だと考えます。


 たしかに、固体潤滑材を含有する後足しの添加剤を使用すれば、多くのエンジンに於いて、アイドリ ング中のエンジンノイズが低減します。 また、低出力小排気量エンジンに使用すれば、吹け上がりの 向上が期待できます。 更に言えば、マニュアルトランスミッションに使用した場合、変速操作がスムー ズになったり、変速操作時のギア鳴りが抑えられたりすることがあります。

 しかし、その一方で、

 固体潤滑材を使用した後足しの添加剤をエンジンに使用すると、
 レシプロエンジンでは、固体潤滑材がピストンリングの溝に詰まってピストンリングの動きを阻害し、 作動ガスが吹き抜けてブローバイが増加したり、最悪の場合、ピストンが棚落ちしてエンジンブローし たりする危険性があります。
 また、ロータリーエンジンでは固体潤滑材の燃焼生成物がシールを疵付けてエンジン寿命を短くする 虞があります。
 そして、レシプロ/ロータリーを問わずエンジンフィルターを詰まらせたり、オイルパンの底に沈殿して 堆積した固体潤滑材が何かの拍子に剥がれてオイルストレーナーを塞いでしまう虞があります。
 では、ギアに使用するのは問題が無いのか?というと、
 歯面に挟まれた油膜が固体潤滑材の粒子直径以下に狭まった際に、固体潤滑材が研磨剤として作 用してしまう虞があります。

 功と罪を天秤に掛けるなら、使わない方が賢明と言わざるを得ないでしょう。
 たとえ不具合の発生する確率が低いのだとしても、使わなければ発生し得ない不具合の危険性を、 わざわざ好んで与える必要はありません。

 ま、喩えて言うなら煙草みたいなもんですかね?
 「煙草吸ったからといって必ず癌になるわけではないけれども、それで煙草の発癌性が否定されるわ けではない」というのに似てると思います。


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