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オイル及びオイル添加剤

 【添加剤】 〔7〕 焼け付き防止性能テストの凄い成績
【問】インターネットのホームページや雑誌の広告記事などを読むと、潤滑性能のテスト結果が載ってい ます。
 それは、ボール盤などで試材を回転させながら強く押し付け、数滴の潤滑剤に拠って焼きを防ぐ事が できるか?というテストです。
 その記事では、エンジンオイル単体でテストするよりも、市販の添加剤を加えたオイルの方が格段に 良い結果になっていました。
 この結果を以ってしても、市販の添加剤の使用は好ましいことではないのでしょうか?
 まさか嘘の実験結果を載せているとは思えないのですが・・・

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【答】なるほどね。
 これは私のうっかりミスでした。
 こういう広告記事をちゃんと叩いておかない限り、市販の添加剤の有害性を幾ら唱えても馬の耳に念 仏です。
 何故なら、こういう実験結果は素人目に凄い説得力があるかのように映ってしまうからです。
 遅れ馳せながら、ここで真実を明らかにしておきましょう。

 勿論、その実験結果は本当でしょう。
 そして、そんな添加剤の効能を目の当たりにすれば、誰もが市販の添加剤の有効性を認めるに違い ありません。

 しかし、よく考えて下さい。

 僅か数滴の潤滑剤しか与えられず、金属同士が強い荷重を掛けられて摺動している箇所が、通常の 稼動状態にあるエンジンやトランスミッション、デフの何処にあるというのでしょうか?

 クルマの機械部品は、常に大量のオイルによって潤滑されています。
 エンジンはオイルポンプによってオイルが圧送され、稼動に伴うくさび油膜によってメタルベアリング が浮いて流体潤滑が維持されている他、常に連続してオイルが供給されるように出来ています。 トラ ンスミッションやデフはオイルの桶に浸かっています。
 つまり、高圧・高速で金属同士が擦れ合う部分で、僅か数滴の潤滑剤しか供給されない箇所など何 処にもありません。

 この点を踏まえて、今度は私から貴方へ質問します。
 【問】何処にも存在しない特殊な環境下に於ける潤滑性能など比べて何の意味があるのですか?

・・・もうお分かりでしょう。
 私たちが使用しているクルマは、たとえサーキット走行と言えども、「数滴の潤滑剤しか与えられず に、高圧・高速で摺動する」部品など何処にもないのです。

 そして、オイルは、そんな極限下での焼け付き防止性能だけが要求されるわけではありません。

 『可能な限り流体潤滑を維持する』『たとえ境界潤滑になっても、そこから固体潤滑へ移行させない』 『境界潤滑が続いても磨耗を最小限に抑える』『吸熱(特に真実接触面における閃光発熱の吸収)』、と りわけエンジンオイルにおいては、『酸化物質(たとえばNOx)の中和』『金属面の清浄化(燃焼生成物 の付着を防止するなど)』『ピストンリングとシリンダー間の吹き抜けを防止するなどの密封』など様々な 効果が期待されるのです。
 極限下でも起こり得ない特殊な状況における焼け付き防止性能が飛躍的に向上したからと言って、 それ以外のオイルに要求される諸性能がダウンしてしまうのでは本末転倒です。
 市販のオイル添加剤の広告は、オイルに要求される様々な性能の内、摩擦抵抗の低減しか謳いま せん。
 それは、オイルに要求される諸性能の内、もっとも素人受けする「分かり易い性能」ですが、それが全 てでは無いのです。

 オイルの性能とは何か?
 自分は、どのようなクルマの使い方をするのか?
 そのような使い方に適したオイルとは、どのようなオイルなのか?
 ・・・それをじっくりと検討すれば、少なくとも加工機械であるボール盤上の焼き付き試験の結果など、 何の意味も持たないことが分る筈です。


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