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内燃工学

大きなタービンにすると同じ過給圧でも高出力化出来るのは何故?
【問】 大きなタービンにすると同じ過給圧でも高出力化出来るのは何故?
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【答】 まず、エンジンを過給することで出力が向上する仕組みについて考えてみましょう。
 過給器を使わないでクルマの出力を向上させる場合、一番手っ取り早く、かつ効果的なのは排気量 アップです。
 排気量をアップすると何故出力が上がるのでしょうか?
 それは沢山の空気(酸素)で沢山の燃料を燃焼させることにより、沢山の膨張ガスが得られるからで す。
 沢山の膨張ガスは、膨張行程においてピストンを力強く押し下げるので、高出力が得られるのです ね。
 じつは過給器という物は、小排気量のエンジンのシリンダーに大排気量と同じだけの空気を押し込ん で、燃料を燃やさせる装置なのです。
 要はシリンダーに沢山の空気を無理矢理押し込んで沢山の燃料を燃やし、膨張行程のピストンを強 く押し下げようってハラなのです。

 では、排気量2千ccのエンジンに、4千ccのエンジンと同体積の空気量を押し込めば同程度の出力 が期待できるのでしょうか?
 熱効率の問題がありますので、等しい出力に成りませんが、概ね近い出力が得られる勘定になりま す。
 では、排気量2千ccのエンジンにターボチャージャーで1キロの過給圧を掛ければ同程度の出力が 期待できるのでしょうか?
 これはかなり低い出力になってしまいます。
 何故なら、4千ccの自然吸気エンジンに比べて排気の邪魔物があるからです。
 そうです、ターボチャージャーが排気抵抗となって排気を滞らせるのです。
 ターボチャージャーが排気を滞らせると、エンジンが排気行程を終了してもシリンダー内に排気ガス が残ります(これを残留ガスと言います)。
 シリンダー内に残留ガスがあると見かけ上の容積が減りますので、1キロの過給圧を掛けても4千cc の空気が入りません。
 もし、3千ccの空気しか入らないのであれば、当然の事乍ら、3千ccの排気量のエンジンと同程度の 出力しか得られないのです。

 さて、タービンが排気抵抗になって出力向上を阻害することは理解できました。
 ではここで大きなタービンと小さなタービンを比較してみましょう。
 排気側ハウジングのサイズが違うことが判ります。
 ハウジングのサイズが大きいと、排気ガスが通る通路の面積が広くなります。
 そうです、排気側ハウジングのサイズが大きいタービンの方が、排気ガスの抜通抵抗が小さいので す。
 つまり、大きなタービンの方が排気抵抗が少ない分、排気の滞る量が少なくなって残留ガスが減りま す。
 残留ガスが減ればその分新しい空気がシリンダーに入ります。
 上述の例で言えば、小さなタービンなら3千ccの空気しか入らないところに、大きなタービンだと3千5 百cc入ったりするのです。
 この差が出力差となるのですね。

 余談ではありますが、上述の理屈は排気側ハウジングのサイズが違う場合にのみ適合します。
 排気側タービンのサイズを変えず、コンプレッサー側タービンだけを大きくして風量を増やしたタービ ンの場合、同じ過給圧なら同じ出力しか得られません。
 見落とし易いので注意して下さい。

★追伸(というか平易ばーじょん)★
 本家Q&Aに書いたレスが自画自賛ながら分かり易かったので、ココにコピペします。

 <<前略>>

  空気を仁丹やBB弾のような粒玉だと思ってください。
 ターボが高出力を搾り出す仕組みとは、自然吸気では1行程に百粒しかシリンダーへ入らない空気 の粒を、無理矢理百五十とか二百個詰め込むだけに過ぎません。
 したがって、タービンが変わっても、シリンダーに送り込まれる空気の粒の数が同じなら、出力は変わ りません。

 ところが、ターボはタービンが排気抵抗になるため、排気行程でシリンダーから排出し切れない「排気 ガスの粒」が沢山あります。
 圧縮行程でシリンダーにある粒が二百個でも、それが全て新鮮な空気の粒だとは限らないのです。
 小さなタービンほど排気抵抗が大きく、シリンダーに残る排気ガスの粒の割合が多くなります。

 ノーマルタービンで「新鮮な空気の粒:150個」&「排気ガスの粒:50個」だったものが、
大きなタービンで「新鮮な空気の粒:180個」&「排気ガスの粒:20個」になれば、
圧縮行程でシリンダーにある粒が同じ二百個でも、新鮮な空気の量は2割も増える勘定になるワケで す。

 だから、タービンを大きくすると『圧力(ブースト)と体積(パイピングやIC)吸入温度(ICは交換しない) と回転数が変わらなくても』出力が向上するのです。
 勿論、レスポンスは悪化しますけどね。





・・・てゆーので、一通り説明は終わったんですけど・・・
 なんてゆーか、本家Q&Aでこのページを紹介しても、イマイチ反応が良くなんですよね。
 分かってる人にとっては、説明されるまでもない既知って感じだし、分かっていない人には、説明して もチンプンカンプンって感じ。

 どうやら、少々遡って説明する必要がありそうです。

 まず、過給圧という現象を正しく捉えるところからやり直しましょう。

 過給圧とは何でしょう。
 それは、吸気行程でシリンダーに入り切れなかった空気が [ コンプレッサー 〜 吸気バルブの間 ] に 溜まって、正圧となる現象に過ぎません。

 では、思考して貰いましょう。  思考し易くするため、ここでも“空気粒”という概念を用います。
 そして、定回転で稼動し続ける過給器を仮想します。  この過給器が環境の影響を受けず、常に単 位時間あたり100個の空気粒を送っていると仮定します。 そして、 [ コンプレッサー 〜 吸気バルブの 間 ] は、大気圧(=絶対圧1キロ)で1000個の空気粒が入る容積だと仮定します。  また、スロットル バルブの存在は無視します。

 エンジンが単位時間に使用する空気粒が50個であった場合、1単位時間が経過する毎に、 [ コンプ レッサー 〜 吸気バルブの間 ] に50個ずつ空気粒が残こる勘定になります。  単純計算で20単位時 間後には、コンプレッサーの後方 ( [ コンプレッサー 〜 吸気バルブの間 ] ) に2000個の空気粒が存 在することになります。  この状態が1キロの過給圧(=絶対圧2キロ)です。
 そして、空気は弾性であるため、大気圧の時に空気粒が1000個しか入れない空間へ、2000個の空 気粒を押し込めば密度が上がります。  このため、自然給気に比べ、過給されているシリンダーの方 が圧倒的に多い空気粒を吸い込みます。  この多数の空気粒に見合った燃料を与えて燃焼させれ ば、自然給気とは段違いの燃焼圧力を得ることが出来ます。  これが過給器付きエンジンが高出力 を生むカラクリです。

 そして、過給器が送る単位時間あたりの空気粒の数と、圧搾されてシリンダーに吸い込まれる空気 粒の数が釣り合った状態が、我々がターボメーター等で確認する「安定した過給圧」なのです。

 ここで気付いて欲しいのは、過給に因ってシリンダー内に吸入される空気は、 [ コンプレッサー 〜 吸 気バルブの間 ] にある圧搾された空気だということです。   [ コンプレッサー 〜 吸気バルブの間 ]  にある空気の絶対圧が同じであれば、コンプレッサーがデカかろうがチイさかろうが、シリンダーに吸 入される空気粒の数に違いはありません。 
 前述の説明の繰り返しになりますが、同じ過給圧なのにシリンダーに吸い込まれる空気粒の数が違 うのは、前回以前の行程に於いて排気し切れずに残った排気ガスが邪魔をするからです。  変な喩 えですが、10人乗りのエレベーターへ20人押し込むシチュエーションを思い浮かべてください。  空の エレベーターならギュウギュウ詰めで20人押し込めても、予め何人か乗っていたら、更に20人を押し込 むことは出来ないでショ。  それと同じコトです。
 つまり、シリンダー内に残った残留ガスが新しい空気の流入を邪魔するために、同じ過給圧でも燃料 と混ざって混合気となる空気(酸素)の量は異なるため、タービンが変われば同じ過給圧でも出力が異 なるワケです。



 以上の説明からご理解頂けたと思う通り、排気抵抗の違うタービンに変えれば、同じ過給圧でも出力 が異なるワケです。





 では、この質問の回答として最も多い「タービンの風量が違うから」とは、一体どういう意味なのでしょ うか?

 ズバリ答えを言ってしまう前に意地悪(?)な質問をしてみましょう。
 同じコンプレッサーを使い、エキゾースト側のハウジングを大きく(A/R比を大きく)するなどして、排気 タービンの通気抵抗を小さくしたらどうなるでしょうか?
 この場合、同じ過給圧にすることが出来るのであれば、排気抵抗が小さくなって残留ガスが減る分、 吸入される新しい空気が増えてパワーアップします。  この点は、これまでの説明の通りです。  し かし、排気抵抗が小さくなるということは、排気ガスがタービンに干渉する度合いが下がるということで もあります。  したがって、タービン軸を加速する力が弱くなって過給の立ち上がりが遅れるようになり ます(=レスポンス悪化)。  場合によっては、幾らタービン軸が勢い良く回っても羽の回りに乱流が 起ってしまい、エンジンが高回転の時に過給しなくなったり、排気抵抗が大きくなったりして過給が上が らなくなる現象が起ります。
 これを避けるためには、排気タービンもコンプレッサーもある程度大きくし、適切なA/Rに於いて十分 な容積のハウジングが必要になります。
 この大きなターボチャージャーが、適切なタービン軸回転数の時に吐出するコンプレッサー側の風量 を「タービンの風量」と称すのです。
 つまり、タービンの風量がデカイということは、エンジンが高回転でも過給がタレない、あるいは高過 給に耐えられるという意味でしかありません。
 逆に言えば、質問のように、ノーマルタービンと同じ過給圧が発生している状況で、風量の大小の比 較は、意味がありません。  もちろん、風量の大きいタービンは、概して同じ排ガス量に対して排気抵 抗が小さいのですから、まんざら「大ハズレ」でもありません。  しかし、「大きなタービンにすると同じ 過給圧でも高出力化出来るのは何故?」という問いに対して「タービンの風量が違うから」とだけ答える のは、的外れです。  少なくとも「排気抵抗が違うから、同じ過給圧でも送られる風量が異なる」と答え なければ、回答と呼ぶに値しません。  なぜなら、「タービンの風量が違うから」と言われて排気抵抗 や、それに因って生じるシリンダー内の残留ガスに思考が及ぶ人なら、端から「大きなタービンにすると 同じ過給圧でも高出力化出来るのは何故?」なんて質問はしませんからね。



 さて、ここまでの説明をお読みになって、同じ過給圧なら排気抵抗は低い方が高出力化になる道理 が御理解頂けたことと思います。
 では、排気タービンを通る排気ガスの抜通抵抗は低ければ低いほど良いと言えるのでしょうか?
 こたえは、「条件付きで正解」です。
 条件とは、「排気ガスの運動エネルギーが十分に排気タービンへ干渉し、タービンの軸を高回転に駆 動できていること」です。
 排気タービンおよびそのハウジングを大きく、またブレード枚数を減らしたり形状を変えれば排気ガス が排気タービンを通る際の抵抗を小さくすることができます。  しかし、あたりまえのことですが、その ような「排気ガスが排気タービンに干渉し難い構造」は、同じ排気ガス量でもターボチャージャーの軸を 強く駆動することができません。
 もちろん、新しい空気を多く強制給気するためには、ターボチャージャーの軸が強く高回転で駆動さ れていなければなりません。  ですから、いたずらにターボの排気抵抗を小さくすると皆目過給圧の 上がらない駄目タービンになってしまうのです。
 同じ過給圧1.0キロなら、排気タービンを通る排気ガスの抵抗は小さい方が新しい空気の量(モル数) が増えて高出力化します。  したがって、排気タービンを通る排気ガスの抵抗が大きいエンジンでの 過給圧1.0キロと、排気タービンを通る排気ガスの抵抗が小さいエンジンの過給圧0.9キロが同程度の 出力になる可能性はあります。  そう言う意味でなら、低い排気抵抗に因ってタービン軸の回転数が 少し落ちても問題はありません。  しかし、十分な量の新しい空気を送り込むだけの圧送力は必要で す。  そのためのタービン軸回転数(回転力)を排気ガスから得られないのであれば、排気タービンの 抵抗が低くなるメリットはありません。
 また、排気ガスがタービンブレードに干渉し難い(=排気抵抗が低い)とタービン軸は加速し難くなりま す。  このため過給の立ち上がりも遅く(=鈍く)なります。
 つまり、フン詰まりも駄目ですが、ヌケ過ぎも駄目なのです。


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