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オイル及びオイル添加剤
高価なオイルの存在意義 2013.06.09&16 加
筆あり
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【問】インターネットの掲示板などを見ると、「高価なオイルに大枚叩かなくても、純正オイルを短いサイ
クルで交換すればOK」だと書かれていました。 それでは、何故高価なオイルが存在するのでしょう
か? 化粧品のように、ユーザーの自己満足のために高いプライスタッグが付いているのでしょう
か?
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【答】ひとことで言って、純正オイルと高級オイルは、用途が違うんですよ。
オメガやオベロン、モチュール、レッドラインなどの所謂高級オイルは、何も長期間に渡って無交換で
使用出来る性能を誇って高い値段で流通している訳ではありません。
誤解を恐れずに言えば、最も長期間に渡って無交換で使用し続けることの出来るオイルは、純正オ
イルなのです。
町乗り&高速道路の尊法巡航に限れば、オメガやオベロン、モチュール、レッドラインなどの所謂高
級オイルは、存在意義がありません。 何故なら、それらのオイルは、高回転・高負荷を前提にして
います。 そうした稼動条件下では、酸化防止剤や清浄剤はスラッジ化し易いため、添加量が極力抑
えられています。 ですから、町乗り&高速道路の尊法巡航で長期間無交換で使い続けるには、所
謂高級オイルの方が向いていません。
…… これは、十数年前の知識であり、睦月 氷影 様より頂いた情報に拠れば、今は「HTHS粘度」と
いう規格が出来ており、ベースオイルの性能がポ数値に反映されるので、安いポリマーで高性能に見
せ掛けたオイルは化けの皮が剥がれるとの事。 自社製品の「HTHS粘度」を公表しているオイルメー
カーは多くありませんが、アメリカおいてはホームページにのプロダクトシートにて公表しており、日本に
於いてもユーザーが賢くなれば、公表されるようになるかも知れません。
オメガやオベロン、モチュール、レッドラインなどの所謂高級オイルは、過酷な環境からエンジンやミ
ッション、デフを守るために存在しています。
高出力を搾り出す火花点火ガソリンエンジンは、ノッキングを避けるために燃料冷却を行います。
レース車輌よりも燃費に大らかなストリート仕様や走行会仕様のチューニング車輌では、気化し切れな
い程の燃料を燃焼室内に噴き込みます。 そうなれば、オイルが希釈されてピストンリングの潤滑が
厳しくなるのは勿論、オイルパンのオイルさえ希釈されてシャバシャバになってしまいます。 しかも、
それでも回避し切れないノッキングの圧力が、クランクのメタルに伝わって流体潤滑を阻害することも
多々あります。
競技車輌を違って、殆どの場合オイルクーラーが装着されないギアオイルは、油温の上がりが半端
ではなく、摩擦熱の発生源たる機械式LSDを装着したデフのオイルなどは、180℃以上にもなります。
こうした「町乗り&高速道路の尊法巡航」では考えられない過酷な環境では、純正オイルでは余りに
も能力不足です。 オメガやオベロン、モチュール、レッドラインなどで漸く破損から免れることが出来
るのです。
結論を言えば、長距離無交換であれば純正オイル以外に選択肢はなく、同様にスポーツ走行が前提
であれば高価なオイルを使わざるを得ないのです(勿論、交換サイクルは早く)。
…… と、書いてしまったのですが、この記事を書いた頃の常識であった「モータースポーツ用の高級
オイルは、長期使用に適さない」ってのは、十余年を過ぎた今となっては『過去の話』。 もちろん、吸湿
によって変質し易いエステル系のエンジンオイルが、短時間・短距離稼動(いわゆる“チョイ乗り”)が多いク
ルマに適さないという点は相変わらずですが、(植物系等の特殊なエンジンオイルを除けば)モータース
ポーツ用のエンジンオイルでも長時間・長距離の使用に耐えるという太鼓判の規格 ―― APIではSM、
ACEA規格ではA3/B3というロングレンジ規格 ―― に対応しており、概ね「値段が高い分、全分野で高
性能、もちろん純正オイルが耐える長時間・長距離の使用もOK」という解釈で宜しい様です。
※ tan色の文字は、睦月 氷影 様よりメールにてご指摘を賜り、加筆させて頂きました。
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