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サスペンション

サスの底突きとは?
【問】 サスの底突きって何の事ですか?
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【答】 いうまでもなく、サスペンションは無限にストロークする事は出来ません。
 車種毎に大きく異なりますが、セダンやクーペの場合十数センチしかストローク出来ません。
 このストローク量の範囲内で、路面からの入力を受け止めきれなかった場合、残ったエネルギーが 衝撃となって車体にガツン!と伝わります。
 この状態を称して「サスの(サスペンションの)底突き」と言います。

 では、サスペンションが底突きすると何がイケナイのでしょうか?
 ひとつは、ボディにダメージが及ぶ事。
 急制動中に路面の陥没部へタイヤが落ちたりしてサスペンションが底突きを生じると、搭乗者は物凄 い衝撃を感じます。
 「ばきんっ!」という嫌な音もしますので、ボディに与えるダメージは予想以上の物があり、ボディ鋼板 に歪みや亀裂を生じたり、スポット溶接が剥れたりします。
 もちろんボディにダメージが加わるのは、急制動中に路面の陥没部へタイヤが落ちた場合に限りま せん。
 普通に急制動したり、急旋回中したりした時にサスペンションが底突きしても、程度の差こそあれボ ディにダメージが及びます。

 もうひとつは、底突きした瞬間にタイヤのグリップ力が失われる事。
 タイヤのグリップ力は所謂摩擦の法則[摩擦力]=[摩擦係数]×[荷重]には従いません。
 比較的軽い荷重から急激にグリップ力を発揮し、ある程度の荷重以降はグリップ力の増大が頭打ち になります。
 そして荷重が極端に重くなるとグリップ力は若干減少してしまいます。
 底突きした瞬間は、まさに荷重が極端に重くなった状態ですので、グリップ力はピークよりも低くなっ てしまいます。
 もし、水平方向に掛かって居る横Gが、ピークのグリップ力でようやく釣り合う程度に強かった場合、 底突きした瞬間にグリップ力は横Gに負けてタイヤは滑ってしまいます。
 一旦大きく滑り出したタイヤは、タイヤが最大のグリップ力を発揮する「滑り量」では無い為にグリップ 力が小さくなり、元の荷重量に戻ってもグリップ力が復元しません。
 このため、限界走行をする車両にサスペンションの底突きは厳禁なのです。

 では、底突きしない様にするには、どうすれば良いのでしょうか?
 それには、何よりも十分なサスペンションストロークを確保することです。
 路面の平滑なサーキットの場合、サスペンションストロークはロール量とピッチ量だけ有れば足りま す。
 しかし、公道では路面の凹凸に追従するだけのストロークと、それに見合った柔らかいバネが必要で す。
 たしかに車高短の方が「ソレ」っぽくて格好良いのかも知れませんが、公道仕様の場合、車高を落と し、減ったサスペンションストロークの分だけバネを固くするのは愚の骨頂です。
 おばちゃんのマーチ並みの速度でしか走らないのならともかく、それ相応にやんちゃな運転をするの であれば、路面の凹凸に追従できるだけの柔らかさのバネと、その柔らかいバネでも底突きしないだ けのサスペンションストロークを確保する必要があります。

 なお、サスペンションストロークが足りないからと言って、ダンパーに付属しているバンプラバーを切っ て短くしてしまう人が居ますが、止めて下さい。
 バンプラバーは底突きに対する最後の砦です。
 バンプラバーは可変レートのバネの一種です。
 ストロークしてダンパーのケースがバンプラバーに接触すると(←これを「バンプタッチ」と称します)、 バンプラバーが圧縮されますが、バンプラバーは最初の1mm縮む時の固さと、1cm縮んでから1mm 縮む時の固さが全く桁違いに違います。
 しかも、変形することに因って生じるヒステリシスロスが運動エネルギーを消費しますので、減衰力も 発揮します。
 バンプラバーを切って短くすると、これらの機能が期待できなくなってしまいます。
 サーキットのように平滑な路面で、縁石を踏まない限り過大な入力が無いのであれば、バンプラバー は無くても問題ありません。
 しかし、悪徳役人の丸投げ手抜き工事で凸凹になっている公道の場合は、路面からの過大な入力が 不可避です。
 そしてその過大な入力からボディを守るのはバンプラバーにしか出来ません。
 もしバネを異常に固くして、バンプラバー無しで底突きを防ごうとしたのなら、とてつもなく固いバネに 成らざるを得ません。
 そうなると底突きでの強大なダメージは回避出来ても、細かな振動がボディに伝わってダメージが蓄 積してしまいます。

 また、ノーマルのサスペンションや一流メーカーのサスキットの場合、バンプラバーのクッション効果 がサスセッティングの一部を担っている事があります。
 この場合、バンプラバーをカットしてしまうと、ストロークしてバンプタッチした瞬間に挙動が変化する 事があり大変危険です。

 サスペンションストロークが足りないのに車高を上げたく無い場合は、金を惜しまないでダンパーをシ ョートストローク化して対応しましょう。
 もちろん、ストロークするとアーム類が干渉するほどに車高短にしてしまったら、ダンパーを短くしても 無駄ですが。


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