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トランスファー
ATは停止毎に [ N ] ポジションにするのが賢い?
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折角綴ったので、勿体無いからATネタだけ分離して転載します。 元の文章は、 [ クルマ関係Q&A ] → [ オイル及びオイル
添加剤 ] → [ 油温とオイル劣化の関係 ] にてご覧頂けます。
【問】AT車の運転で停止毎に [ N ] ポジションにしても、何ら問題はなく、 [ N ] にすることによって抵抗
が減る分、燃費の向上やバッテリーの長寿命化が期待できるそうですね。
私も明日から、信号待ちは [ N ] ポジションにします。
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【答】どうぞ、どうぞ。 ただし、それは、あくまで自己責任ですよ。
件のお問い合わせの根拠は、ATを停止毎に [ N ] ポジションにするとATが痛むという意見に対して、
「停車する度にNレンジを選択し、発進の度にDレンジとすれば、N→D→N→Dの繰り返しによる前進
クラッチ用リターンスプリングの疲労破壊や、クラッチピストンのゴムシールの摩耗、クラッチフェーシン
グの剥離が考えられないことはありませんが、そのような初歩的な耐久性の確認が出来ていないA/T
は現在の自動車製造技術の上から到底考えられません。
クラッチON/OFFの耐久性は一般的に言って、単体で100万回程度は見てありますし、何らかの悪条
件(高油温、超低温など)を考えても、10万回はOKでないと、市場で不具合が多発します。つまり市場
に出ている車はそういう不具合は出ないような設計になっているのです。」と答えた掲示板上の書き込
みですかね?
だとしたら、この説は理論的に正しくありません。
理屈は、例に因って例の如く中学レベルの数理ですので、肩の力を抜いて御付き合い下さい。
体験的に日本の都心で使うAT車のTMは、だいたい10万キロ位からシフトショックが大きくなるなど
の不具合が発生し始め、15万キロ程度で絶不調になることが多いようです。 我慢するか、あるいはO
Hすればもっと永く乗れるのでしょうが、その辺でクルマを買い換えてしまうのがパターンですね。
そこで、ここではDレンジだけで走った場合のATの寿命を、やや長めに見積もって20万キロと仮定す
ることにします。
となると、日本のユーザーの場合、年間の走行距離が1万キロ程度の人が圧倒的に多いので、丁度
20年間でATがお釈迦になります。
さて、Dレンジだけで走った場合に20年間持つATが、停止毎に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返した場合にど
れ位寿命が短くなるのでしょうか?
1年間に1万キロ走るということは、単純計算で日に27キロ走ることになります。
日本の都心だと数百メートルおきに信号があり、なおかつ深夜〜早朝以外は大半が渋滞しています
から、もし300メートル毎に設置された信号全てで停まったとすると、その回数は実に毎日90回にも達
する計算になります。 さすがにそれは極端なので3箇所毎に停まる(実体験的には、もっと多いように思い
ますが)と仮定しても毎日30回は停止します。 毎日30回ずつ [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返すとすると、概ね
年間1万回繰り返すことになります。 ということは、[ N ] ⇔ [ D ] に百万回耐えるATは、停止状態に
おける [ N ] ⇔ [ D ] の繰り返しだけに100年間耐え得ることになります。
Dレンジだけで走行した場合、ATの寿命は20年間。 ということは、年間の損耗率は5%。
一方、走行せずに、毎日30回ずつ停止状態で [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返した場合、ATの寿命は100年
間。 ということは、年間の損耗率は1%。
よって、Dレンジで走行し、停止毎に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返した場合、年間の損耗率は6%です。
ということは、1÷0.06≒16.7で、この場合のATの寿命は16年と8ヶ月間半。
比べると明白。
Dレンジだけで走行した場合、ATの寿命は20年間。
Dレンジで走行し、停止毎に[N]⇔[D]を繰り返した場合、ATの寿命は16年と8ヶ月間半。
つまり、3年と3ヶ月間半も寿命が縮んでしまうんですよ。 短寿命化率83.3%(16.7%減)です。
ね、十分ヤヴァイでしょ(※)。
耐久距離を変えても本質は変わりません。
普通にDレンジだけで使って15年とか20年とか持つATの寿命が、停止ごとにNレンジに切り替えるだ
けで毎年1%ずつ余計に壊れていくんです。
もちろん、壊れる遥か前にATの調子が悪くなります。 当然の事ながら、調子が悪くなり始めるタイミ
ングも早くなると考えるべきでしょう。
ですから、たとえ1日に何百回とシフトアップダウンを繰り返しているATであっても、毎回停止毎に[
N ] ⇔ [ D ] を数十回繰り返すせば、ATの耐久性への影響は、決して少なくありません。
まぁ、壊れるときはDレンジだけで走行していても短い走行距離で壊れるし、壊れないときはDレンジ
で走行し、停止毎に[N]⇔[D]を繰り返しても長い走行距離で壊れません。 ある程度運任せなのも事
実ですが、何もわざわざ手間を掛けて、より短い走行距離で壊れるように、あるいは、より短い走行距
離で不調になるように努める必要はないでしょう。
なお、「人間はミスをするもの」という思考の次元に立つなら、信号待ちなどの停止時にATのセレクタ
を [ N ] にするのは危険でもあります。
というのも、運転免許を手にして以降、ず〜っと、信号待ちなどの停止時にATのセレクタを [ N ] にし
てきたドライバーは良いのですが、そうでないドライバーは、信号待ちなどの停止から発進する際に、
ATのセレクタが [ N ] にしていたのを忘れて、そのままアクセルを踏んでしまう恐れがあるからです。
もちろん、ATのセレクタが [ N ] のままでスロットルを開けても、エンジンが空ぶかしになってしまうだ
けで、特に危険な状態に陥るワケではありません。 しかし、アクセルペダルを踏んでも発進しない状
況に焦ったドライバーが、慌ててATのセレクタを操作してしまうと、クルマが急発進してしまいます。
ですから、僅かばかりの燃費向上やバッテリー寿命延ばしのために、信号待ちなどの停止時にATの
セレクタを [ N ] にするのはイケナイのです。
※ 寿命に影響があると言っても、あくまで机上の空論に過ぎません。
あたりまえのことですが、Dのままで10万キロで滑ってパァになるミッションもあれば、停止時に逐一Nにして20万キロ超ノント
ラブルでしっかり駆動力を伝えてくれるミッションもあります。
燃費マンセーならイイんじゃないですか?停止時逐一Nでも。
ただし、危険であることだけは間違いありませんからね。
そこんトコ、圭坊は責任持てませんから、ヨロシク。
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追加【問】 いまどきは、停車中にコンピュータが勝手に [ N ] へ切り替え、発進時に自動的に [ D ] へ
切り替える機構を持ったトルコンATもあるんだぜ。
[ N ] に切り替えることでミッションにダメージなんか及ばないっての。
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【答】 お言葉を返すようですが、予めそういう仕組みを前提に作られている [ N ] と、AT誤動作など緊
急時のトルク伝達カットとして想定された [ N ] は同じではありませんよ。
「いまどき」の話で言うなら、私が免許を取った二十数年前、パワーステアリング装着車輌のハンドル
据え切りは御法度でした。
理由は、単純にステアリングシステムあるいは油圧アシストシステムが痛むからです。
今、その御法度を耳にすることはありません。
それは据え切りをすることを前提にして、ステアリングシステムや油圧アシストシステムが作られてい
ます。
だから多少据え切りを繰り返しても、そう容易にガタが出たり壊れたりしないのです。
据え切りという行為自体が、ノーダメージになったワケではありません。
メーカーが「ドライバーの多くが信号停止時などの際、頻繁に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返す」と認識して、
その際のダメージを軽減するように設計しているなら、停止時などの際に頻繁な [ N ] ⇔ [ D ] 切り替
えを繰り返しても問題はありません(全く無いワケではない)。
しかし、「ドライバーの中には、信号停止時などの際、頻繁に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返す者が居るが、
そのダメージは重篤ではなく、対策にお金を掛けても対費用効果は薄い」と考えるなら、そのメーカー
のトルコンATは旧来依然であって、頻繁な [ N ] ⇔ [ D ] 切り替えは好ましくありません。
メーカーがどういう設計をしているのかが分かれば話が早いのですが、そういう情報は得ることが困
難です。
であるなら、リスクは少ない方が善いと私は考えます。
特に、 [ N ] から [ D ] へ切り替えた際、シフトショック以上に大きいショックが「がつん」と伝わってく
るようなATなら、あまり頻繁に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返すべきではないでしょう。
そういうことをしたからといって必ず壊れるというワケではありません。
だけど、それはノーリスクの意味ではありませんよ。
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追加【問】 俺なんか停止時毎に [ N ] ⇔ [ D ] を繰り返すしてもう20万キロ超だけど、トルコンATはビ
クともしていないぞ。
ガチャガチャ切り替え捲くっても全然大丈夫だって。
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【答】 それはね。
「俺なんか物心付いた頃から、毎日1カートンの煙草を吸い続けて早40年間。 ピンシャンしている
よ。 煙草に害なんかないって。」
て言うのと同じですよ。
■■■ 補 稿 □□□■■■■■□□□□□■■■■■□□ 2009.11.03 ■■
さて、上に綴った薀蓄に「別の視点のご紹介あり!」というメールを頂戴しましたので、
返信と併せて掲載させて頂きます。
> Sと申します。はじめまして。
> 停車時にATでNに入れるかのところです。
> 機械にとって大丈夫かどうか、という点はあまり重要ではないのではないか?と思います。
>
> どちらかというと事故防止で、人間はミスをするものだ、という考え方について
> のほうが重要ですよね。
>
> Dでフットブレーキを踏んでいるというのは、信号待ちで注意が散漫になったり
> ごそごそ運転席周りをいじっているときに踏力が弱くなってするりと
> 動いてしまう、という事故もあります。自分としてはこちらのほうが可能性が高く怖いです。
> 自分の周りでアクセルとブレーキを踏み間違ったという例は聞いたことがないですが、
> Dで停車中にブレーキの踏みが甘くなって動いてしまったという例は
> 何度か見聞きしました。一般的にもこちらのほうが多いのでは、と思います。
> 自分でもやった事ありますし。
>
> で、自分はATに乗った時どうしているかというと
> マニュアル車の時と同じでニュートラルにしてサイドを引く
> です。フットブレーキも基本踏みっぱなしです。
> どの車でも同じにアクションするのがうっかり事故を防ぐ第一歩ですから。
> なので足踏み式のサイドブレーキな車は嫌いですw
なるほど。
[ D ] で無意識にフットブレーキを緩めてしまうと、クリープ現象で発進して前方に停止しているクルマ
にガチャンコしてしまうから停止時は [ N ] + [ サイドブレーキ ] + [ フットブレーキ ] で、と。
勿論、それに越したことは無いと思います。
ただし、『毎回毎回停止の度、確実に [ N ] + [ サイドブレーキ ] + [ フットブレーキ ] → 再発進
時 [ D ] + [ サイドブレーキ解除 ] が厳守できるなら、です。
投稿者様を含めて、MTも運転されるドライバーにとって何の事は無いカンタンな操作であっても、AT
しか運転できない身体能力欠如にとっては困難極まりないという可能性があります。
さすがに [ フットブレーキ解除 ] は忘れ様が無いと思いますが [ D ] + [ サイドブレーキ掛けたま
ま ] でアクセルONして「あれれ進まないなぁ」ってポカはありえるでしょう。
もし、その状態で「あ、そうかサイドブレーキ掛けたままだった」で [ D ] + [ アクセルON ] + [ サイ
ドブレーキ解除 ] となれば前のクルマに向かってロケットダッシュです。
え? ナンボなんでもソコまでの馬鹿はいないだろうって。
いやいやいや。
ブレーキとアクセルを踏み間違えた挙句、踏み直せずにフェンスを突き破って高層駐車場から墜落
するようなドライバーがゴロゴロ居るんですから、マーフィーの法則通りに『起こり得る可能性のある事
故は必ず起こる』と考えましょう。
また別の可能性として。
もし、 [ D ] へ切り替えることを忘れて [ N ] のまま [ サイドブレーキ解除 ] をしてしまった場合、
下り勾配なら前進,上り勾配なら後退してしまいます。
この時、問題になるのは上り勾配での後退です。
前に進む分には、ドライバーの想定の範囲内(というか、そもそも前進しようとしてサイドブレーキを解
除している)ですから、意図しない加速度の前進であっても冷静に対応することができるでしょう。
ところが、後退はドライバー予測を完全に裏切る動きです。
経験値の低い(ぶっちゃけ言ってしまえば修羅場慣れしていない)ドラーバーが対処できずにそのま
ま後続車両へガチャンコしてしまう可能性は決して低くありません(※1)。
※1:ランエボ10のTC−SSTは、ブレーキペダルを踏んで停止していると自動的にクラッチが開放されてしまうため、キツい上
り勾配からの発進時に、アクセルペダルへの踏み替えが遅れると容易に後退してしまいます。 私の嫁はこの唐突な後退に
全く反応することが出来ませんでした。 今まで踏んでいたブレーキペダルを踏み直すだけで後退は止まるのに。
したがって、『停止時は [ N ] + [ サイドブレーキ ] + [ フットブレーキ ] なら安全』というワケにも行
かないと思います。
ただ、あくまで私の個人的な見解ですが、 [ Dのまま ] + [ フットブレーキ ] の優位性は「ある」と考え
ます。
理由は、
(1) ただブレーキペダルを踏むだけという最も単純な操作であり、かつ運転中非常に頻繁に繰り返
している行為なので、リカバリー(=踏力が弱まってクルマが動いた時は強く踏む)が容易い。
(2) ドライバーがパニックに陥り易い『予測していない唐突な後退』が起こり難い。
(3) 4輪ディスクブレーキ車の多くは、サイドブレーキの制動力が弱く、かなり強くレバーを引かないと
坂道でクルマを停止させることが出来ない(※2)。 したがって、レバーを引く力が足らなくてクルマが動
き出してしまう可能性が払拭できない。
※2:4輪ディスクブレーキ車の多くは、リアディスクブレーキパッドをサイドブレーキワイヤーで拘束することによってパーキング
ブレーキを機能させている。 これは、シフトセレクトを [ P ] にした際にトランスミッション側でギアを拘束してしまうために、サイ
ドブレーキが弱くても実質的な問題が無いからである。
(5) そもそも信号待ちなどで不意にフットブレーキが緩んでしまうような行為をするべきではないし、
どうしても何か体を動かす必要があるなら、その時だけ [ P ] + [ サイドブレーキ ] とするべき。
ですね。
もちろん
> どの車でも同じにアクションするのがうっかり事故を防ぐ第一歩ですから。
は全面賛同。
とはいえ、国産スポーツモデルは北米がメインマーケットなので、サイドブレーキの位置が左座席用
になっている(=シフトレバーの左側にある)クルマが多いんですよね。 昔のクルマみたいにシフトレ
バーの真後ろにあると幾らか引き易いんですけど、最近のはチョット...
というワケで、私の場合、MTは普通に [ N ] + [ サイドブレーキ ] ですけど、ATは [ Dのまま ] + [
左足でフットブレーキ ] ですね。 どの車でも同じにアクションする方が良いってのは理解しているんで
すけど...
■ 追伸 ■
JAFも twitter で警告しています。
https://twitter.com/jaf_jp/status/395681404102537217
> ATミッションのクルマで、交差点で停車するたびニュートラルにする人を見かけますネ。
> 万が一エンジン回転が高い状態でドライブにシフトしてしまうと大変危険。
> 大事故にもなりかねません。 エンジンが動いている状態では燃費にほとんど差がありませんヨ。
だそうです。
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