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ブレーキ

ローターの最外周部を強く挟むために採用される対向4ポッド式ブレーキキャリパー?
【問】対向4ポッド式のブレーキキャリパーは、ブレーキローターの最外周部を強く摘む目的で作られて いる。
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【答】いやいやいや。
 ブレーキパッドの上端に強い油圧を掛けて、ブレーキローターの最外周部を強く摺動するのであれ ば、高価な対向多ポッド式キャリパーなんぞ必要はありません。
 ブレーキキャリパーの剛性を下げれば叶います。

 ブレーキキャリパーには剛性が求められますが、それは何故でしょう?

 ブレーキキャリパーの剛性が低いと強い油圧でキャリパーが開くからですね。

 では、何故強い油圧でキャリパーが開くとイケナイのでしょう?

 それは、ブレーキパッドの面圧が偏って制動力が低下し、また、ブレーキパッドが偏磨耗するからで す。

 理屈は単純です。

 簡単に図解してみましょう。

 下図の赤い部分がブレーキキャリパー,灰色の部分がブレーキローター,
 茶色い部分がブレーキパッド,黄色い部分がブレーキピストンです。

 ブレーキローターに相当する灰色の部分は上が外周側、下が内周側(至る車軸)です。

 



 もし、ブレーキ・キャリパー(赤い部分)に十分な剛性が無く、ピストンに大きな油圧が掛かった場合は

 

 このようにキャリパーが開きます。



 こうなると、ブレーキパッドはローターの外周部ほど押し付けられる力が強く、内周部ほど押し付けら れる力が弱くなります。

 



 タイヤのようなゴム製品ほど顕著ではありませんが、パッドの摩擦もその因子(掘り起こし抵抗や凝 着-剥離抵抗など)が荷重と無限に正比例できないため、高荷重でなるにつれて摩擦の上昇が小さくな る傾向があります。

 そのため、このような面圧の偏りは、パッド全面の総摩擦力を低下させ、制動力が低下します。

 また、パッドが偏磨耗するため、ブレーキペダルを強く踏まなければマトモな制動力が立ち上がらなく なります。



 もし、インターネットの掲示板上でまことしやかに言われるように
 「対向4ポッド式のブレーキキャリパーは、ブレーキローターの最外周部を強く 挟むコトに因って強い制動力を得ている」
 のであれば、このようにキャリパーの剛性を下げるだけで目的は果た せるワケです。



 では、対向4ポッドが採用される本当の理由とは何なのでしょうか。

 答えは「面圧の均等化が目的」です。

 違う図を用意しました。
 今度は、キャリパーの上から俯瞰した格好の図です。

 先ほどと同じく、下図の赤い部分がブレーキキャリパー,灰色の部分がブレーキローター,
 茶色い部分がブレーキパッド,黄色い部分がブレーキピストンです。

 ただし、灰色の部分は上がローターの進行方向前、下が進行方向後ろです。

 

 ローターの回転方向が白い矢印だとすると、ピストン(黄色)によって強く押されたブレーキパッド(茶 色)は、
 摺動面が矢印方向へ引っ張られることによって

 

 上図の緑色の矢印のような力を受けます。



 そのため、ローターの回転に対して後方の圧力が高く、前方の圧力が低くなります。

 



 この対策として、多ポッド式じゃない普通のディスクブレーキは、

 

 ↑このように、ピストンを(ローターの回転方向に対して)前方へ配することにより、

 

 圧力の偏りを抑えています。



 これが4ポッド式なら、

 

 ↑このように、径の違うピストンを配することによって

 

 面圧が均等化されるワケです。

 もちろん、ブレーキパッドの背板の強度などの問題もありますので、単ピストンを偏芯して配するより も、異径のピストンを配する方が信頼性が高くなります。
 (片持ちの2ポッドでの異径も同じ理屈です)

 なお、あたりまえですが、ローターの回転方向の前後に生じる圧力差は、摩擦の大きさで異なります から、異径ピストンの多ポッド式キャリパーを街乗り中心で使用した場合、逆にローターの進行方向の 前側ばかりが磨耗してしまうことになります。

 ですから、形ばかりのドレスアップ的4ポッドキャリパーのピストンは同径が多く、レース車両や純度の 高いスポーツカーの多ポッドブレーキキャリパーのピストンは異径が多いのです。



 異径多ポッド・キャリパーの一例
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